心ひとつに
今まで共に戦って来た、大切な友人達が消され、悲しみと絶望の淵に立っていた私とセーラームーンに、ギャラクシアは更なる深い悲しみと絶望を与えた。


「!あれは…」

「ほう…この金色のスターシードが気になるとは、なかなか目が高い…」


そう言うと、ギャラクシアは金のスターシードを手にし、星の記憶の一部を私達に見せて来た。


「まもちゃん…」

「そんな…衛さんまで…」


ギャラクシアが私達に見せた星の記憶は、衛さんのスターシードが奪われ、光となり消えて行く場面だった。その映像を見たセーラームーンは地面に崩れ落ち、絶望と哀しみのどん底へと突き落とされてしまった。


「セーラームーン!しっかりして…!」


ファイターが、崩れ落ちてしまったセーラームーンにそう声を掛ける。


「ダメだよ…私、もう戦えない…」

「セーラームーン…!」

「無理だよ!!もう、亜美ちゃんも、レイちゃんも、まこちゃんも、美奈子ちゃんも、まもちゃんだっていない…っ…」


泣きながらちびちびちゃんを抱きかかえ、そう言うセーラームーンに、私は、唇を噛み締め、悔しさや悲しみに必死に耐えながら、彼女を叱咤した。


「っ…甘ったれんな、セーラームーン!!こんな所で泣き事を言っている暇があるなら、一刻も早くギャラクシアを倒し、平和な世界を取り戻すの!!あなたもプリンセスなら、しっかりしなさい!!」

「っ…!夏希ちゃん…」


セーラームーンは、私の言葉に言い返そうとするが、私の顔を見るなり、その言葉を呑み込んだ。


「…そうよ、セーラームーン…。私達が、この星を…銀河を救わなきゃ!」

「こんな所で、終わらせたりしない…!」

「一緒に頑張りましょう…!」

「スターライツ……うん…!」


セーラームーンは、私達の言葉に頷くと、再び立ち上がった。


「…話は済んだか?」

「ギャラクシア!大切な皆の仇も含め、必ずお前を倒す!!」

「あなたなんかに、この星は…銀河は渡さない!!」

「ほざけ!貴様ら如きが、この私に口答えなど許さん!」


ギャラクシアは再び私達に向かって、光球を放って来た。しかし、それが当たる前に、私達は温かい光に包まれ、別の場所へと移動した。

私達が移動して来た場所は、たくさんのデスクとパソコンが並んだ部屋だった。


「ここは…」

「!シャイン!セーラームーン!!」

「それにスターライツ…!」


声を掛けられ振り返ると、そこには、ウラヌスを始めとする、外部系戦士の姿があった。


「ウラヌス、ネプチューン、プルート、サターン…!!よかった…皆無事みたいね…」


私は元気な4人の姿に、ホッと小さく笑みを漏らした。


「こんなにボロボロになって…」

「すまない…助けに行けなくて…」


そう悔しそうに言うとウラヌスは、そっと私を抱きしめた。


「ううん、いいの…またウラヌスに会えて、よかった…」


そう言って私も、そっとウラヌスの背に腕を回し、彼女の体を抱きしめ返した。



―――――



ウラヌス達と合流した私達は、あの部屋であった事を彼女達に話した。


「そんな事が…」

「私がもっと早くに覚醒していれば、こんな事には…」

「シャインのせいじゃない…悪いのは全て、ギャラクシアの中に巣食う混沌だ!」

「そうだよ!シャインのせいなんかじゃない…!」


俯いてしまった私に、ウラヌスとセーラームーンが言った。


「…ありがと、2人とも…」


私は彼女達にお礼を言うと、力なく笑った。


「シャイン…」

「私なら大丈夫…心配しないで?」

「……無理はするな…」

「うん…」


元気がないウラヌスにそう言った私を、ウラヌスは抱きしめた。そんなウラヌスの優しさに、私は泣きそうになるが、何とか堪えた。

こんな状況じゃなかったら、本当は泣いて、弱音だって吐きたい。でも、私はこの太陽系の星々を守るクイーンだから、こんな所で、泣き事を言ってられない。


「(泣き事を言ってる暇があるなら、一刻も早く、この星に平和を取り戻さなきゃ…!)」


ウラヌスに抱きしめられている私を、ネプチューンを始め、その場にいた全員が心配そうに見つめた。


「…シャイン、辛いのなら、もう戦わなくていいのよ?後は、私達が…」

「ううん、私も戦う。クイーンの私が、こんな所で泣いてなんかいられないもの…!」


私は俯かせていた顔を上げ、意志の強い目で彼女達に言った。


「…今より、もっと辛い結果が待っているかもしれないのよ…?」

「それでも戦う。この星を守る為に…」

「…この戦いで、あなたも死んでしまうかもしれないのよ?」

「この星を救うまで、私は死なない。」

「ギャラクシアを倒した所で、消えてしまった人達が戻って来る保証はないのよ?」

「…どんな結果が待っていようと、何を犠牲にしようと、この星が、世界が救われるのなら、新しい未来へと道が繋げられるのなら、私は最後まで戦う。こんな所で、立ち止まってなんかいられない…!」


私はスターライツの問い掛けに、真っ直ぐ彼女達を見つめながらそう答えた。


「…強いのね、あなた…」

「私達も見習わなくてはね…」

「あたし達のプリンセスはもういないけど、あなたと、あなたの大切な物を守る為なら、あたし達も全力で戦うわ…」


そう言うと、スターライツの3人は微笑んだ。


「ありがとう、スターライツ…」


そんな彼女達に、私も微笑んでお礼を言った。


「シャイン」

「守りましょう…私達の大切な、この世界を…」

「うん!」

「(強いな…夏希ちゃんは…)私も、負けてられないよね…」

「ちびちび?」


私の姿を見て、そう呟いたセーラームーンを、ちびちびちゃんは不思議そうに見つめた。そしてセーラームーンは立ち上がると、私達全員を見て言った。


「行こう!ギャラクシアの所へ!私達の星を、守る為に!」


セーラームーンの言葉に、全員が頷き、立ち上がった。


「どんな事があっても!」

「何を犠牲にしても…」

「幸せな未来を創る為に、」

「大切な物を、」

「愛する人を守る為に…!」

「仲間を信じ、助け合い…」

「最後まで諦めずに戦う!」

「そして、この星は必ず」

「私達が守る!」
to be continued...
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