真の輝き
正体を明かしてから、暫く経った。あの日から、いろんな事があった。スリーライツの3人は学校に来なくなったり、星野がうさぎを庇って怪我したり、はるか達が私に内緒で、スリーライツの3人に会いに行って、彼らに私とうさぎには二度と会うなと言ったり…本当にいろんな事があった。

そんな中、時間だけは無情にも流れて行き、私達は数日後に学園祭を控えていた。


「衣装こんな感じでどうかな?まだ仮縫いなんだけどさ…」

「お、可愛いじゃん!」

「モデルがいいんだから当然よ〜!」


まことお手製の衣装に袖を通した美奈がクラス全員の前でポーズを取る。そんな美奈をよそに、まことが私とうさぎにも仮縫いされた衣装を手渡して来た。


「はい、2人の分もあるから着てみなよ!」

「ありがとう、まこと。」

「夏希ちゃん、着てみようよ!」

「そうだね!」


私とうさぎは教室から出ると、隣の空き教室で制服から衣装へと着替えた。着替えを済ませ教室に戻ると、いつの間に来たのか、1-1の教室の中には、はるかとみちるの姿があった。


「あ、来た来た!」

「!はるか!みちる!」

「あ、こんばんわ!はるかさん、みちるさん!」

「へぇ…よく似合ってるじゃないか。」

「とても可愛らしくってよ、2人とも。」

「本当ですか!?やった、褒められちゃった!」


はるかとみちるの言葉に浮かれるうさぎに苦笑していると、まことに声を掛けられた。


「どうだい?夏希ちゃん。どこか直して欲しい所とかある?」

「んー…デザインに文句はないんだけど、ウエストが緩いのと、胸がちょっと苦しいかなー…」

「あぁ、それは美奈子ちゃんのサイズに合わせて作ってあるから…」

「「「「ほー…」」」」

「ちょっと、喧嘩売ってる…?」


そんな和気あいあいとした雰囲気の中、垂れ流しにしていたラジオから、スリーライツの曲が流れ始めた。


「あ…この曲…」

「スリーライツの3人、どうしてるんだろうな…」

「そうね…ずっと学校も休んでるし…」


私は沈んでしまった空気を壊そうと、わざと明るい声で皆に提案した。


「ね、もう遅いし、今日はこれくらいにして解散にしない?」

「そうだな…」

「そうしようか!」


私の提案にクラスメイト数人が乗り、その日は解散となった。

私とはるかは、ほたるとせつなが待つ家へとみちるを送ってから家路に着いた。



―――――



あれから数日が経ち、私達はついに学園祭当時を迎えた。

我が1-1は、定番の喫茶店をやっているのだが、私やスリーライツが所属しているクラスだとファンの間で有名なのか、とんでもない数のお客さんが入った。

開店と同時にお客さんが流れ込み、用意していた席はすぐに満席になり、廊下にも長蛇の列が出来ていた。

私も最初はウエイトレスとして出ていたんだけど、私がウエイトレスとして出ると、ファンの子達が握手やらサインを求めて来て、店が回らなくなるとの事で、私は裏方へと回された。


「はぁ……ファンでいてくれるのはありがたいけど、勢いが凄まじい…」

「あはは…お疲れ様、夏希ちゃん。」

「夏希ちゃんは少し休んで?後は私達で何とかするから…」

「あ、あたしも手伝う!」

「ありがとう、亜美、レイ…忙しいのにごめんね…?」

「気にしないでゆっくり休んで?」

「そうよ!アイドルが疲れた顔してたら、ファンの子達が可哀想でしょ!」

「うん、ありがとう…」


私は2人にお礼を言うと、教室の隅に置いてある椅子に座り、束の間の休息を取った。それから暫くして、少し店の回りが落ち着いて来た頃、疲れた様子の美奈とうさぎが裏方にやって来た。


「お疲れ様、2人とも。お店の様子はどう?」

「だいぶ落ち着いて来たよ…」

「もう、ほとんどがスリーライツと夏希ちゃん目当てのお客さんよー…?繁盛するのはいいけど、もうちょっと考えて欲しいわよね…」


美奈がそう言い終わった時、タイミング良く亜美とレイも裏方へと戻って来た。


「あ、亜美、レイ!2人もお疲れ様!」

「はぁー…初めてこの場にスリーライツの3人がいなくてよかったって思ったわ…」

「本当…ファンの子達のパワーってすごい…」

「あはは…お疲れ様…」


疲れ切った2人の様子に、私は苦笑を漏らさずにはいられなかった。


「でも、どうせなら会いたかったわよねー。せっかくの学園祭なんだし…」

「そうね…でもずっと学校休んでるんでしょ?それじゃあ、きっと学園祭の事も知らないわよね…」


美奈とレイが残念そうにそう話していると、うさぎが不敵に笑い出した。


「ふっふっふ…実は、そうでもないんだなー。」

「は?」

「どう言う事?うさぎ…」


うさぎの言葉に、私を含めたその場にいた全員が首を傾げた。


「実は、星野と約束をしたんだなー。今日の学園祭に来てくれるって!」

「!星野くんに会ったの!?」

「うん!」

「いつの間に…!」


うさぎが得意そうに答えると、美奈は悔しそうな顔をした。その時、サングラスで顔を隠した星野が姿を現した。


「よ!」

「星野!来てくれたんだね!」

「約束したからな。で、お団子のお薦めのケーキってのは?」

「あ…ごめん、今ケーキ切らしてるの…」


私が星野にそう言うと、星野は少し残念そうな顔をした。


「マジ…?」

「さっきまで私達目当てのお客さん押し寄せて来てて…今やっと落ち着いて来た所なの…」

「…そんなヤバかったのか?」


星野の問い掛けに、その場にいた全員が頷いた。


「参加してなくてよかった…」

「それが正解。今ケーキ取りに行って来るから、ちょっとそこで待ってて?」


私は立ち上がると、ケーキを作り続けているまことの元へと向かった。



―――――



まことの所に行こうと、教室から出た私は、ファンよりもある意味達の悪いのに掴まった。


「…はるか、離して欲しいんだけど…」

「どうして?」

「私ケーキ取りに行かなきゃいけないの!看板メニューのケーキがなかったら、せっかく来てくれたお客さんに悪いでしょ?」

「だそうよ…?はるか、離してあげたら?」

「仕方ないな…。それじゃ、僕達も一緒に行くよ…」

「別に来てもいいけど、面白い事は何もないよ?」

「私達は、あなたと一緒にいたいだけなのよ…。面白い事なんて期待していないわ。」

「そう?それならいいんだけど…」


私はそう言うと、2人を連れてまことの所へと向かって歩き出した。まことの所に行くまでの間、何人ものファンが私に声を掛けようとするが、SPかと言いたくなる程のオーラを放つはるかとみちるに恐れを為してか、声を掛けて来る子は1人もいなかった。


「まこと、ケーキ取りに来たよ!」

「あ、夏希ちゃん!どうだい、店の方は?」

「だいぶ落ち着いて来たよ。これ運んだらいいの?」


私はトレーにいくつか乗ったケーキを指差すとまことに尋ねた。


「うん、後少しでこれも焼き上がるから、そしたらこれもお願い!」

「了解!」


まことが焼いてる間、私は窓から外の様子を眺めていた。


「ん…?ちびちびちゃん…?…!!」


私は目を見開き、自分の目を疑った。しかしすぐに外に向かって走り出した。それを不思議に思ったみちるとはるかが、私が見ていたように窓の外に目をやると、そこには逃げる回るちびちびちゃんを追う夜天と大気の姿があった。


「!みちる、すぐあの子達に知らせてくれ!僕は夏希を追う!」

「わかったわ!」

「あの、何かあったんですか?」

「ちびちびちゃんが襲われてるのよ!」

「何だって!?はるかさん、あたしも一緒に行きます!」


まことの提案にはるかは頷くと、はるかはまことと一緒に外に向かい、みちるは皆に知らせる為、1-1へと走った。

そんな3人よりも先に着いた私は、転びそうになったちびちびちゃんを寸の所で抱き留めた。


「大丈夫?ちびちびちゃん…」


私が微笑むと、ちびちびちゃんも安心したのか笑みを零した。それから私は、夜天と大気からちびちびちゃんを庇うように立った。


「どう言う事?どうして、こんな小さい子を襲うの!?」

「夏希には関係ない。退け!」

「嫌!」

「どうしても、私達の邪魔をすると言うのなら、例え夏希と言えども、容赦はしませんよ…」

「やれるもんならやってみな。女だからって舐めないでよね…!」


私は2人に向かって構えると、夜天が一気に間合いを詰めて来た。それに反応し、私も迷わず夜天へと拳を向けた。しかし、夜天はそれを軽々と受け止めた。


「へぇ…なかなかいいパンチじゃん。だけど、こんなもんじゃ、僕達には勝てないよ!」


そう言うと夜天はもう片方の手で拳を向けて来た。私はそれを避けると、そのまま夜天の足元を掬おうと回し蹴りを繰り出す。しかし、それも簡単に夜天は避け、私との距離を取った。


「ほう…夜天相手に、やりますね…」

「舐めないでって言ったでしょ!あんた達、私を誰だと思ってんの…?」

「さあ、知りませんね…」

「君の事なんて、興味すらないよ。」

「っ、この野郎…!」

「夏希!」

「夏希ちゃん!」


私が夜天と大気に向かって文句を言おうとした瞬間、はるかとまことが慌てた様子でやって来た。そして、2人は私をちびちびちゃんを庇うように前に立った。


「お前ら…!少しは、話のわかる奴らだって思ったのに…!」

「知りませんね。あなた方の勝手なイメージなんて…」

「そうだよ…早くそこ、退いてくれない?」

「退かせたいなら、力尽くで退かせるんだな…」


そう言うとはるかとまことは構えた。その時、みちるの知らせによりこの状況を知った星野、うさぎ、亜美、レイ、美奈が、みちるを筆頭に慌てた様子でやって来た。


「お前ら!何してんだ!!」

「星野…」

「星野こそ、何してたのさ。まさか、そいつらに会い来たとか言わないよね?」

「っ…会いに来ちゃいけないのかよ!」


夜天の言葉に、星野は反抗的な言葉で返した。それに対し、夜天はわざとらしく溜め息を吐くと、星野に向かって言う。


「……あのさ、星野わかってんの?僕達の使命は、プリンセスを見付け出し、一刻も早く故郷を取り戻す事なんだよ?」

「わかってるよ…!でも、だからって、こいつらと仲良くするのは、そんなにいけない事なのかよ!?」


星野が夜天に向かって強く問い掛ける。


「そんな事をしている暇があるんだったら、私達のプリンセスを探して下さい…」

「大気!」

「…夜天、行きましょう。星野、あなたも来て下さい。」

「……わかった。…ごめんな、お団子。夏希も、悪かったな……それじゃあ、またな!」


そう言い残し、スリーライツの3人は去って行った。



―――――



それから私達は、今あった出来事について話し合いを始めた。ちなみに、ちびちびちゃんはうさぎの膝の上に大人しく座っている。


「奴ら、何でまたちびちびちゃんを…」

「わからない……私が来た時は、ちびちびちゃんから、その香炉を奪おうとしてるように見えたけど…」

「香炉…?」

「…そう言えばあんた、その香炉どこで拾って来たの?」

「どこで?」


うさぎの質問に、ちびちびちゃんは同じ事を繰り返すだけで、期待していたような答えが返ってくる事はなかった。


「やっと見付けたわよ!月野うさぎ…いえ、セーラームーン!」

「!!誰…!?」


うさぎはちびちびちゃんを庇うように立ち、声を掛けて来た女に向かって強気な口調で問い掛けた。


「あたしはアニマメイツNo.1、セーラーアイアンクロウ!セイレーンが残してくれたこの手帳に、あんたの事が書いてあったのよ!あんたのスターシード、貰うわよ!」

「そうはさせるか!」

「皆、変身よ!」


レイの言葉に、私達は立ち上がると、それぞれの変身アイテムを手に叫んだ。


「マーキュリー・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「マーズ・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「ジュピター・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「ヴィーナス・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「ウラヌス・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「ネプチューン・クリスタルパワー!メイクアップ!」

「ムーンエターナル!メイクアップ!」

「コスモイノセントパワー!メイクアップ!」


変身を終えた私達は、それぞれアイアンクロウに向かって攻撃を仕掛けた。

マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスはそれぞれの技を、私、ウラヌス、ネプチューンは素手で攻撃を仕掛けた。しかし、アイアンクロウは全ての攻撃を避けただけではなく、私達全員を吹き飛ばした。


「皆…!!」


吹き飛ばされた私達を見て、セーラームーンは叫んだ。


「セーラー、ムーン…逃げ、て…!」

「皆を見捨てて逃げるなんて…そんな事出来ないよ!」


弱々しくそうセーラームーンにマーズが告げるも、セーラームーンは逃げるどころか、敵に立ち向かった。


「私のスターシードが欲しいんでしょ?他の皆は関係ない…!」

「…いいわ、あんたが大人しくスターシードを渡してくれるなら、他の奴等は見逃してあげる。」

「わかった…」


そう言うとセーラームーンは両手を広げ、目を閉じた。


「っ…セーラームーン、ダメ!」

「止めるんだ…っ…セーラームーン!!」

「っ…うさぎ…!」


私達3人は何とか体を起こし、立ち上がるはいいが、打ち所が悪かったのか、すぐに地面に膝を着いた。


「あんたのスターシード、頂くよ!」

「スター・シリアス・レイザー!」


アイアンクロウがブレスレットを構えたその時、ファイターの技がアイアンクロウの手に当たった。


「その子から離れなさい!」

「!またぞろぞろと…あんた達の事も知ってるんだからね!あんた達、アイドルやってるんですってね!」

「!どうしてそれを…!」

「あんた達のスターシードも後で取ってあげるから、大人しくそこで見てな!」

「スター・シリアス…!」

「おっと、あんた達も銀河を流離う者なら、これが何だかわかるでしょ?」

「!それは…!」


アイアンクロウはブレスレットからある物を取り出すと、スターライツの3人に見せた。それを見た瞬間、彼女達の表情が一気に強張った。


「そう…これは小さくとも正真正銘のブラックホールよ。呑み込まれたら最後、二度と戻って来る事は出来ない…。この大きさでも、この敷地を呑み込むくらい訳ないわ!」

「!そんなものを今ここで放ったら…!」

「学園祭に来てる人達まで巻き込んでしまうわ!」

「そんな…!他の人達は関係ない!やるなら私だけにして!!」


ウラヌス、ネプチューンの言葉に、うさぎがアイアンクロウに向かって絶叫に近い声で叫ぶ。


「…っ…アイアンクロウ!やる事が汚いわよ!」

「そんな事知ったこっちゃないね!どっちにしろ、あたしにはもう後がないんだ…!お前達!ちょっとでも動いてみろ!これをここで発動させる…!」


そう言うと、アイアンクロウは再びブレスレットをセーラームーンに向かって構えた。


「…っ…!」


それを見た私は、咄嗟にセーラームーンを庇うように、彼女の前に立った。その瞬間、アイアンクロウのブレスレットから放たれた光球が、私の体を貫いた。


「「なっ……!」」

「っ、あぁああああ!!」

「!夏希ー!!!」


ウラヌスの悲痛な叫びが木霊する中で、私の中から、私の命の輝きでもあるクリアトパーズが抜き出された。それによって私の変身は解け、私は地面へと崩れ落ちた。


「そんな…夏希ちゃん!夏希ちゃん、しっかりして…!!」


セーラームーンが私の体を抱き起こし、揺すり、声を掛ける。そこへウラヌス、ネプチューンもやって来て、倒れた私へと声を掛けるが、私が3人に返事を返す事はなかった。


「綺麗…こんなスターシード、初めてだわ…」


アイアンクロウは、私から抜き取ったスターシードを見つめ、小さくそう呟いた。


「…予定とは違ったけど、これも真のスターシードに間違いはないわけだし、とりあえずこれだけでもギャラクシア様に…!」


そう言ってアイアンクロウがクリアトパーズへと手を伸ばしたその時、アイアンクロウ目掛けてブレスレットから放たれたと思われる光球が飛んで来た。


「!しまった!」


光球がアイアンクロウの手に当たり、アイアンクロウは手に持っていたブラックホールの入ったガラスの筒を地面へと落としてしまった。それにより、その場にブラックホールが現れた。

ブラックホールは、恐ろしい早さで成長し、発生して数秒たった今、一番近くにいたアイアンクロウの体を今にも完全に飲み込もうとしていた。


「っ…こんな所で…!」

「あんたはお役御免よ!この真のスターシードは、あたしがギャラクシア様に届けておくから、あんたは安心して消えなさい。」

「にゃんこ…!」

「さようなら、アイアンクロウさん…」

「ごめ…っ…セイレーン…ぐ、ぁ…っ!」


小さい呻き声を残し、アイアンクロウはブラックホールへと完全に呑まれてしまった。


「さて、急いで真のスターシードを…!」

「そうはさせるか…!」

「この子のスターシードは…!」

「絶対、誰にも渡さない!」

「だーめ!!」


私の体を、スターシードを守るように、ウラヌス、ネプチューン、セーラームーン、そしてちびちびちゃんまでもが、セーラーティンにゃんこの前に立ちはだかった。


「ちっ…ちょっと、邪魔よ!早くしないとスターシードが…あぁあああ!!!」


にゃんこのその声と同時に、私のスターシードは、ブラックホールの中へと消えて行った。


「どうしてくれんのよ!!極上のスターシードが〜!…っ…とにかく、今は逃げるのが先ね。あんた達も早く逃げないと呑み込まれちゃうわよ!」


そう言うと、にゃんこはブラックホールから距離を取り、安全そうな場所に移動用の電話ボックスを出した。


「みちる…」

「ええ…」


ウラヌス、ネプチューンの2人は、セーラームーンの体をブラックホールから離すように突き飛ばすと、ブラックホールを恐れる事なく、今にも呑み込まれてしまいそうな距離にある私の体を抱きしめた。


「きゃっ!」

「「「「セーラームーン!!」」」」

「っ……ウラヌス!ネプチューン!!」


セーラームーンは体を起こすと、私の体を抱きしめる2人に向かって叫ぶ。しかし、2人はその場から動こうとせず、セーラームーンに向かって言った。


「すまない、セーラームーン…」

「この子のいない世界なんて、私達には、耐えられないのよ…」


2人はそう言い、優しく微笑むと、私のと共にブラックホールの中へと消えて行った。そんな私達を見たちびちびちゃんが、強い意志を持ったような表情で、ブラックホールへと向かって行き、そしてブラックホールの闇の中へと消えた。


「そんな……夏希ちゃん…はるかさん…みちるさん…ちびちび…!」


セーラームーンがブラックホールへと消えた私達の名前を悲痛な叫びと共に呼んだ瞬間、ブラックホールの中からとてつもないエナジーの光が溢れ出した。


「!このエナジーは…」

「まさか…!」

「!!」


スターライツがそう呟いた瞬間、中から溢れ出たエナジーが、ブラックホールを消し去った。

ブラックホールを突き破り現れたエナジーの光の中心には、香炉を天へと掲げるちびちびちゃんと、私の体と共に消えたはずのウラヌス、ネプチューンの姿があった。


「!これは、一体…」

「何が起こっているの…?」

「皆…!よかった…っ」


セーラームーンが安堵の表情を見せた時、光が消えると同時に、美しい女性が姿を現した。


「「「プリンセス!!」」」


その女性を見るなり、スターライツの3人は、涙を流しながら、地面へと降り立った彼女の前へと跪いた。


「ご無事でよかった…」

「心配しました…」

「ずっと、お会いできる日を待っていました…」

「ファイター、メイカー、ヒーラー…心配を掛けましたね…」


3人からプリンセスと呼ばれた彼女は、3人に一言そう言うと、ブラックホールの中から見付け出してくれた私のスターシードを、あるべき場所へと戻してくれた。


「夏希…!夏希!!」

「夏希…!!」


2人は私の名前を呼び、軽く体を揺さぶった。しかし、2人の呼び掛けも空しく、私が目を覚ます事はなかった。
to be continued...
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