B
※連載ヒロイン


「「「「「Erika様〜っ!!」」」」」

「いやー!お願いだから、もう追い掛けて来ないでー!!もうチョコ見たくない〜!!」


2月14日、バレンタイン。私は朝からずーっと、チョコを片手に持ったファンの女の子達に追い掛け回されていた。


「ふふ…今年も凄いわね、夏希のファンは」

「…本当、僕にとってはいい迷惑だよ…。毎年この時期になると、夏希と一緒にいる時間は減るし、今日だって、もう放課後だって言うのに、まだ夏希からチョコは貰えてないし…」


そう言ってはるかは、ファンに追い掛け回されている私を、少し不機嫌そうな顔で見つめた。


「夏希は僕のものなのに…」

「…全く、はるかは独占欲が強いんだから…」


はるかの言葉を聞いて、みちるは呆れたような表情を見せた。それから暫くして、漸く私はファンの子達を撒き、はるかとみちるの元に戻って来る事が出来た。


「ハァ…ハァッ…ハァ…ッ……疲れた…」

「ふふ…お疲れ様…」


息を切らし戻って来た私を、みちるは微笑みながら迎えてくれた。それに対し、はるかは不機嫌丸出しで、私はそんな彼を見て苦笑を漏らした。

そして私は、腕を組み、壁に背を預けて立つはるかに正面から抱き付くと、甘えるように彼の胸へと顔を埋めた。


「はーるか!私、はるか不足で死にそうなんだけど……はるか、治してくれる?」

「……今年は、チョコくれないのか…?」

「それは、後で2人っきりになってからね?飛びっきり甘くて、たっぷり愛情の籠った手作りチョコ…はるかだけにあげる…」


私ははるかの耳元でそう囁くと、彼の頬に小さくキスを落とし微笑えんだ。そんな私に、漸く機嫌を治してくれたはるかは、組んでいた手を解くと、私をギュッと抱きしめた。


「チョコくれるなら、口移しがいいな…」

「もう、すぐに調子に乗るんだから…」


そう言ってゆっくりと顔を近付けて来るはるかに、私は頬を微かに染めながら、そう言い返した。そして私達は、みちるや他の生徒が数名見ているのにも関わらず、夕陽に赤く染まった廊下で、ゆっくりと互いの唇を重ねた。
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