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2月8日、今日は私の一番大切な人が、この世に生を受けた大切な日。私は、誰よりも早く彼におめでとうって言いたくて、迷惑かとも思ったけど、朝から彼らの住むマンションへと向かった。

マンションへと着いた私は、彼らの部屋番号を押すと呼び鈴を鳴らした。


『はい、どちら様ですか?』

「おはよう大気、私!朝早くからごめんね」

『あぁ、あなたですか…どうぞ』


大気にロビーへと繋がる扉を開けてもらい、私はマンションの中へと入って行った。それから暫くして、彼らの住む部屋の前に着いた私は、再び呼び鈴を鳴らし、訪問を知らせる。


「いらっしゃい。どうぞ、外は冷えますから…」

「ありがとう、大気。お邪魔します!」


大気に家の中へと入れてもらった私は、こんな時間から訪ねてしまった事を謝った。


「ごめんね、こんな朝早くから…」

「別に構いませんよ。夜天に会いに来たんでしょう?今日は夜天の誕生日だから…」

「うん!一番に、おめでとうって言いたくて」


私の言葉に、大気は小さく笑みを零した。


「それなら、ついでで構わないので、夜天を起こして来てもらえませんか?もうすぐ朝食の準備も出来ますので…」

「わかった!それじゃ、行って来るね!」


私は大気にそう言うと、夜天の眠る彼の部屋へと向かった。部屋の前に着くと、そっと静かに扉を開け、忍び足でベッドに近付くと、すやすやと眠る彼の寝顔を見つめた。


「ふふ…可愛い寝顔…」


私が小さく笑いと共に、そう呟いた時、突然伸びて来た腕に手を引かれ、バランスを崩し、ベッドへと倒れてしまった私を、夜天は布団の中へと引き込んだ。


「…可愛いって言われても、全然嬉しくないんだけど…」

「……起きてたの…?」

「今起きた…」


そう言うと夜天は小さく欠伸を漏らした。


「…それで、何でここにいるわけ?寝込みでも襲いに来たの?」

「そんなわけないでしょ!大気に頼まれて、起こしに来たの!」

「何だ…つまんないの…」


そう言うと夜天は掴んでいた手を離し、少し不貞腐れたような顔をすると、私に背を向けてしまった。


「ねぇ、何で機嫌悪いの…?」

「別に機嫌悪くないし…」

「悪いじゃん……ねぇ、こっち向いてよ」

「…何で?」

「いいから、こっち向く!」


不貞腐れた夜天に、私がそう言うと、夜天はムスッとした顔のまま、大人しく私の言った通り、私の方へと顔を向けた。その瞬間、私は不貞腐れたままの夜天にそっと口付けた。


「!!」

「…夜天、誕生日おめでとう…生れて来てくれて、私と出会ってくれてありがとう…」

「…どういたしまして…」


ほんのり頬を赤く染め、私から視線を逸らしてそう言った夜天が堪らなく愛おしくて、私は夜天をギュッと抱きしめた。
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