同じものと違うもの(DDFFヴァンティナ)

私とヴァンは違うところがいっぱいある。見た目とか、性別は勿論、生まれた世界も違う。今まで歩んだ人生も違う。彼は帝国に苦しめられた側で、私は"人形"として帝国に与していた側。性格も違う。彼はとっても明るくて前向きで、何より自由。力を誰かのために使える心を持ってる。私は…いつも破壊の力に怯えて、がんじがらめになって。戦いたくないということ以外分からなくて。

だからなのかな。戦い方が違うヴァンの魔法は、私のよりも綺麗なの。

「ヴァンの魔法はいいね」
「…いいって、何が?」
「なんだかきらきらして、綺麗」

イミテーションを倒したヴァンにアシストとして側に控えていた私は思ったことをそのままヴァンに告げた。

例えば私のように全てを焼き尽くして灰にする業火じゃなくて、舞うように纏われて人の心を揺らし照らす炎。飲み込んで荒らし暴れまわる竜巻じゃなくて天空へ登り詰めるような旋風。繊細な紋章魔法から成るヴァンの技は、とても綺麗。

「私の魔法とは、違うわ」
「…一緒だよ」

歪みの中の、さらに戦うための世界の断片から出てきたヴァンは一緒だ、ともう一度言って私の手を取った。

「オレの使う魔法も、今は敵を倒すための魔法だ。ティナは自分の力が破壊のための力だと思ってるんだろ?」
「うん」
「ならオレの魔法も今イミテーションを壊すために使われた、破壊の力だ。でも、オレはティナの魔法も綺麗だと思うし、破壊の力なんかじゃない」
「…?言ってることが違うわ」

破壊の力だけど、そうじゃない。ヴァンの言葉はとても真っ直ぐだけど、時々よく分からない。

「んっと、上手く言えないんだけどさ。さっきティナはオレを敵の攻撃から守るために魔法を使った。それは破壊の力なんかじゃない、守るための力だ。魔法に良し悪しはないんだ」
「そうなのかな」
「そうさ。オレ達がどう考えてどう使うかで見え方なんて変わってくる。炎は炎だし、氷は氷、風は風。どっちも綺麗な魔法なんだよ」

言いながらヴァンは指先に灯をともす。お前のも出してみろよ、と言われて同じように指先に魔力を流して小さな炎を生み出した。

「ほら、変わらないだろ、どっちも火だ」
「同じ…火…」
「オレ達は生まれた世界も立場も、今までで見てきたものも違う、そういうとこいっぱいあるよ。でも、同じものだって沢山あるんだ。ティナの力はティナの気持ち次第で思ってるものと同じに出来る」

指先の灯を消したヴァンはその手で私の頭を優しく撫でてくれる。大きくてゴツゴツした手は、やっぱり私のものとは違うし、同じようには出来ない。
でも、魔法は。この力は、ヴァンと同じ自由で誰かを守るための優しいものに出来るかな。出来たら、いいな。

「気持ち、変えられるかな?」
「変われるさ、生きてる人間の心はいくらだって変わる。過去は変えられないけどいまは選べるし未来は創れる。オレも手伝うから、ティナが思うティナになれるように」
「…うん。ありがとうヴァン。がんばる」

私は変わりたい。ヴァンと同じように前向きに、いつか誰かを守って救える存在に。それまで、ヴァンは変わらないでいて。魔法の火を消した手をもう片手でぎゅっと握り締めて私は祈った。



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思ったことをそのまま書いただけだから自分でも何が書きたかったのかはよくわかってないやつ。でもヴァンの魔法は12の仕様上と言ってはあれだけどエフェクトから何から凝ってる。ティナのに比べて、って話。

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