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ファルガイアでは唯一と言える、紋章魔法(クレストソーサー)を学ぶ為の公的機関、クラン修道院。女子のみが入学出来、日々魔法の勉強に勤しむ彼女達には少なからず己の体内に魔力を有する。
亜精霊と人間のハーフである少女、ティナも膨大な魔力を抑え、自らの闘う力とすべく修道院に所属していた。

ティナは天性の才能と幼い頃の指導により詠唱で魔法を使用していた為、紋章魔法を覚えるのに少し戸惑っていた。今も先程習ったことを必死に復習していたが、教室の窓から差し込む陽射しに次第にうつらうつらとしてくる。瞼は半分閉じ、身体の力も抜けていく…

「ティナッ!!」

夢の世界まであと一歩、というところで突然教室の扉が勢い良く開き、そこに飛び出してきた同じクラスの少女がティナの名を叫んだことで意識が現実に引き戻された。

「ど、どうしたの?」
「あんたの彼氏と弟さんが来てるわよッ!」
「ヴァンと、たまちゃんが!?」

驚きつつの問い掛けに答えた少女の言葉にティナは残りの眠気も吹っ飛ばし立ち上がった。持ち主に存在を忘れられた鉛筆が手から離れ床に転げ落ちる。

「そうそう。前に来たのは二か月くらい前かしら…?」
「今どこにいるの?エントランス?」
「あなたが慌てなくてもあの彼氏さんのことだからここまで…」

来るんじゃないかしら、と言い終える前に少女の後ろから教室の中へと誰かが顔を出した。その人物にティナは目を輝かせた。

「ヴァン!!」
「よぉ、ティナ。様子見に来たぜ」
「嬉しい…!」

久し振りに見るヴァンに花開くような笑顔を浮かべギュッと抱き付く。ヴァンも嬉しそうに軽く抱き締め返した。少しの間甘い雰囲気が漂うが、それは間に割って入ったルーネスによって中断された。

「はいそこまで。ヴァン、仮にもここは女子校なんだからズカズカ入らない。視線が痛いんだから…あと他の生徒も僕もあるしいちゃつかない!」

そんなの認めないよ!というルーネスの言葉を聞いているのかいないのか、ヴァンとティナはそれぞれ周りを見回す。
修道院では通常見ることの出来ない光景に生徒達は興味津津で二人…主に男子であるヴァンを見つめていた。もちろんルーネスも熱い視線の対象だ。ヴァンはその様子に大した反応は見せなかったがティナは頬を赤らめてそっと離れた。

「私ったら、つい…」
「そういやここ女しかいないんだっけか」
「ちょっとヴァン、聞いてる!?」
「あ、そうだティナ。今日はちょっと用があって来たんだ」
「またそうやって人の話を聞かない!!」

喚くルーネスを腕で押さえ付けながらヴァンはティナに話を振る。なに?と問えばヴァンはにっと笑った。

「新しい遺跡見つけたんだけどさ、そいつら物理攻撃あまり効かないんだ。だから魔法使える奴に探索の手伝いを頼もうと思って、な」
「それって…」
「三日もあれば戻ってこれると思うんだけど、来るか?」
「…外泊届、貰ってくるッ!!」

ヴァンの意図を察したティナは先程よりも顔を輝かせ外泊届を書く為に教室を飛び出した。
説教を諦めたルーネスははぁ、と一つ溜め息をついて隣で笑う「兄」を見上げた。

「わざわざティナを危険に晒そうなんて良い度胸してるよね」
「ティナなら平気だよ、渡り鳥になるのを望んでるから経験しといた方が良いし…オレたちが守る、だろ?」
「…一緒にいたいだけのくせに」

言ってムスッとする弟にヴァンはお前だって一緒に居られて嬉しいだろ、と返して頭をぐしゃぐしゃと撫でた。二人の会話に耳を傾けていた生徒の一人がおお、と声をあげる。

「頼もしいわねティナの彼氏さん」
「ヴァンはティナの彼氏なんかじゃないッ!!そうだとしても認めないからね!」

勢い良く少女に食ってかかったルーネスを見て、話題には興味無いがからからとヴァンは笑い、頭の後ろで指を組んだ。

「楽しみだな、ティナとねぎぼうずと、三人で旅!!」

判子の捺された外泊届を片手に持ったティナが戻って来るまで、ヴァンはこれからの旅に想いを馳せた。



―――
多分続かない←
リハビリがてらDDFFでWAパロの設定を元に書いてみました。設定からの派生なのでこちらに。
一応まだ付き合ってないです、出会いが出会いだけにお互いに思い入れが強いですがまだ付き合ってない。でももう秒読み状態なのでたまねぎは気が気じゃない。というか扱いが酷くてごめんね。
ヴァンとたまねぎは女性の目をものともせずちょくちょく修道院に遊びにきては噂の対象になってると思います。あまり免疫ないから生徒達はきゃーきゃー言うけどもうティナの彼氏(勘違い)…!!みたいな。

やばいこのパロ超楽しい。

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