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まーたやってるよ、と目の前の光景を見つつオニオンナイトは溜め息をついた。今彼女の視界にあるのは、物陰からこっそりとバッツ達と談笑しているティナ、を見つめるヴァンの姿。
大剣をも軽々と振り回して戦う飄々とした普段の彼女からは考えられないようなうっとりとした表情で、儚げで優しいティナを見つめているヴァンに、もう一度溜め息をついてからオニオンナイトは話しかけた。

「そんなストーカーじみた真似するならさっさと話しかければ?"彼女"を無下にするような男じゃないんだから」
「た、たまちゃん!?」
「あとそのたまちゃんって呼び方やめて」

うっとりし過ぎて気配を感じ取れなかったらしく、肩をびくつかせ振り返るヴァンに、早くも本日三回目の溜め息。ああ、幸せが逃げる。

「でっでも今バッツ達と話してるし」
「そんなこといつものヴァンは気にしないでしょう」
「ティナが楽しそうだから邪魔しちゃ悪いし…嫌われたくない」

しゅん、と眉尻を下げ言う彼女にオニオンナイトは一瞬言葉に詰まる。普段からこうなら可愛いお姉さんで済むのに。…って、何を考えてるんだ。そうじゃなくて!そう一人脳内でノリツッコミをし、オニオンナイトは口を開く。

「もう、ティナ相手だとてんで弱気なんだから。それで嫌いになるなら最初から告白してこないでしょーが!」
「それは…でもさ、皆可愛いし心変わりするかもしれないし。髪まっすぐな方が良いかなとかおしとやかな方が良いかなとか思う訳で」
「アホらし!」

吐き捨てるようなオニオンナイトの言葉にヴァンは目を丸くする。普段男勝りなくせにいじいじと…とイライラする。可愛くはあるが、オニオンナイトはこれ以上今のヴァンを見ていたくはなかった。

「ヴァンは充分可愛いし、今のヴァンが好きだからティナは告白してきた。確かに可愛さを保つ為に努力をするべきではあるけど、今のヴァンの良さを伸ばすのが良いんだって!」

私だって、いつものヴァンの方が好きだよ。そう言ってやればヴァンの表情は分かりやすく明るくなった。

「…本当?」
「本当だよ。だから自信持ちなよ。ヴァン泣かせたらいくらティナでも私が許さない。みっちり説教してあげる」
「ありがとう!たまちゃん大好きっ!!」

満面の笑みでヴァンはオニオンナイトに抱き着く。一方豊満な胸に顔を押し付ける形になったオニオンナイトは苦しげに唸った。

「ちょ、ちょっとヴァン、苦し…」
「あ、ごめん。じゃああたし、ティナのとこ行ってくる!」

すっかり元気を取り戻したヴァンは意気揚々とティナの元へ赴き、話しかけた。ティナも嬉しそうに会話をすると、二人はバッツ達と離れどこかへ歩いていく。どうやらデートでもするらしい。

「全く…世話の焼ける"妹"ね」

姉妹を豪語するヴァンが男と仲睦まじいのは負けた気がして何となく面白くないのだが、それでも彼女が幸せならば、少しくらいは我慢しよう。我慢は、慣れてる。
そう思い微かに微笑んで、オニオンナイトは二人の小さくなっていく背中を暫く眺めていた。



―――
乙女思考ヴァンが書きたかったんだけど…誰だお前状態に(´ω`;)
全員性転換設定でライト達と話してるつもりだったけどやめて3612だけにした。おませなツンデレ妹…正しい妹だっ←
視点のせいで構ってくれるお姉ちゃんとられて複雑なたまちゃんがメインになってしまった…

乙女は今日も一途に奮闘しております。

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