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幾千の戦いを共に切り抜けた愛用の武器、デュアルウェポンを剣に変形させ、一気に斬りつける。敵の身体を砕いた瞬間に真紅の花弁が舞い散り、くぐもった断末魔をあげてイミテーションは瓦解し霧散した。
ふぅ、と息をついて緊張の糸を解く。この辺りにはもう敵の気配はない、ということは共に戦っていたヴァンも上手く立ち回ったらしい。

「ヴァン!どこだ?」

武器をしまい声をかけるが、返事が無い。集中しすぎて遠くまで行ったのか?と思った時、くいくいとマントを引っ張られる感覚がした。かなり下の部分を掴まれているな。

「…なっ」
「おねえちゃん、ここどこ?」

振り向いた瞬間目に入ったのは小さな少年。大きなブルーグレイの瞳を潤ませ、くすんだ金髪は風で揺れている。何故こんな所に小さな子供が、と思う以前に更に重大な事実に気付いてしまって、私は固まった。
その子供はヴァンに、そっくり…いや、むしろそのものだった。


―――


「…経緯は分かったか?」

目の前で驚きを隠せない仲間達の視線を浴びながら私が問うと、無言の肯定が返ってくる。
視線の先には私が膝に乗せている少年、もといヴァン。流石元が彼なだけあって、これだけの人数に囲まれても全く物怖じせず見つめ返している。問題があるとすれば落ち着きがないことか。

「それにしても、こんなことあるんだねぇ…ほーら、ラグナおじちゃんだよー」
「らぐなー!」
「あ、俺は呼び捨てなんだ…」

いち早く理解したラグナがヴァンに対しておどけてみせ、呼び捨てすることに勝手に撃沈している。ユウナやティファは可愛いね、と顔を見合わせているし、カインは兜でよく分からない。

「ねぇライト、私も抱っこしたい」
「構わないが…」
「つ、次私が抱っこしても良いですか?」

ティファが期待に満ちた目でヴァンを抱きたいと言うので預ける。大人しくされるがままのヴァンにティファは喜び、ユウナもニコニコしながら頭を撫でている。…いかん、微笑ましすぎて顔がにやけそうだ。
ユウナに代わって暫くは大人しくしていたが、しだいに嫌になったらしくジタバタと暴れだした。

「ど、どうしたの!?」
「らいとおねえちゃん!」
「ライト、ヴァンからお呼び出しよ」
「なに…?」

ティファに言われてユウナからヴァンを差し出され、戸惑いつつ受け取り抱き上げる。すると急にニコニコしだし、ぎゅうとしがみついてきた。

「ぼく、らいとおねえちゃんがいい」
「そ、そうなのか」
「うん!らいとおねえちゃんだいすき!!」

言うと同時に、ちゅっと可愛らしい音を立てて頬に口付けられる。…ヴァンに、キスされた?ティファとユウナはあら、と言って口元を押さえ、ラグナはニヤニヤしている。
私から顔を離すと丸く柔らかそうな頬を染めながら、ヴァンがへにゃりと天使の微笑みを繰り出してさらに一言。

「おおきくなったら、くちびるにちゅーさせて?」
「………ッ」
「あっ、ライト!?」
「ライトさんが倒れた!!」
「ちょっ、ヴァン君救出!!!」
「…凄い子供だな……」

ブレイブブレイクどころか斬鉄剣で死ぬ。ヴァンを抱き抱えたまま私の意識はオーバーヒートし、次目覚めた時にはまた小さいヴァンの顔が目の前にあってすぐ気絶した。
なんなんだ、この天使。



―――
なんなんだこの話。某サイトのちびヴァンに悶えた結果がこれです。こんなんじゃ無かったけど。ライト姐さんのキャラ崩壊がやばすぎというかくだらないし微妙な長さなので没で。
多分ライト姐さん小さい子に弱い。ショタヴァンはおませさんだと可愛い。ちゃっかりライト狙ってれば良いよ、恋愛対象的な意味で。この後ライト姐さんはヴァンをデレデレに甘やかすよ。ヴァンは子供を武器にベタベタ触りまくるよ。ラグナは玩具だよ←

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