現在夜十時。
 で、外にいます。友達と一緒に。いやいや決して夜遊びではありませんよ極めて善良な一般市民です。
 ん?でも一応遊びに行ったから夜遊びなのか?まあ端から見たら夜遊びしてる今時の若いモンなんだろう。
 ただの祭りの帰りですよメインが夜だったから遅くなっちゃったってだけです。
 しかしあれですね、普段こんな時間に外なんて出ないから分かりませんが、本当に人がいません。とても静か。

「あーいーしぃ、すーぎーたーかーらぁ」

 でもなかった。うん。全然騒がしい。そしてなんだその選曲。殺人事件でも起こすつもりか。
 いい感じに夜空も綺麗だしお誂え向きって奴じゃないの。
 放っておいたら三人は目の前で肩を組み始めて、歌を続ける。なぁあいつら酔っぱらってんじゃねぇの夕飯の時飲んだお茶に何か入ってたんだ。そうだ。きっとそうに違いない。

「そーらにぃえがくはーくじつーのゆめきーねぇまーのてんちぃ」

 おい、曲変わってるぞ。しかも何でそう選曲が古いんだ。そして何故両脇二人は急に曲が変わっても順応できるんだ。突っ込みか。突っ込み待ちなのか。突っ込んだら突っ込んだでアイツらの思惑に乗るようで何か嫌だ。
 いっそのってやれおれ。
 肩を組んでふらふら歩く奴らの後ろにそっと近付く。さてさて右と左どっちがいいか。左だと車道側で少し危ない。まぁ車なんて滅多に来ない道路だけど。じゃあ右。
 狙いを定めて右の奴に思い切りぶつかるように肩を掴む。
 最初少し驚いた様子だったけどすぐにどうでもよくなったようだ。それでこそお前。さぁみんなで歌おうじゃないか。

「『かーざりじゃないのよなみだはぁ』」


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