「まさか遊びに行って帰りがこんなに遅くなるとは誰が予想し得ただろうか」
「それよかお前の謎の説明口調どうした」
暗い道で悔しそうに手を震わせるそいつを見ながら突っ込んだ。聞こえなかったのか聞こえていて無視したのかもしれないが返事はなかった。返事を求めていたわけではないから別にいいんだけど。
そういえば結構長くいるはずなのに夜に二人で外を歩くなんて初めてな気がする。普段はどっちがどこに行こうと勝手だし。家にいたって夜は寝るし。健康且つ健全に生きようぜ。
健康で健全に生きてきたっていうのに今夜は何でか調子に乗ってしまったようで、帰りが遅くなってしまった。
それでも夜の道を二人で歩くのは先に言ったとおり初めてな訳で、表情には出ないレベルに興奮している。やだ楽しい。
このままもう一軒くらい行ったって構わないね。人数が駄目ならあと二人呼ぼう。むしろ家で二人でやろう。二人じゃ楽しくないけどね!
「あだっ!」
ごっという音とほぼ同時にそんな声が聞こえて、いきなり目の前を歩いていたそいつが頭を押さえてうずくまった。
「どうしたんだよ」
何事かと音のした場所を見ると電柱があった。こいつはちゃんと前を見て歩かなかったのか。
「えっ、いや、え?」
確かめるようにぺたぺたと電柱に触り始める。その様子は盲目を連想させた。
こいつこんなに目悪かったか?
明かりもなくて暗いけど目の前の電柱が見えなくなるほどじゃない。


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どーもこーもする気がないんだと思う


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