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良いですか、世の中の皆さん。
街をよく見てください。
 
見渡す限りの赤、緑、そして白。
輝く光のパレード、震えるように響く鈴の音、そしてこの身を切るような寒さ。
 
そう、世間は、クリスマス一色に彩られているのです!!!!!!!!
 
おもちゃ屋さんとケーキ屋さんは賑わい、イルミネーションの下にはカップルが集い、どこへ行っても楽しそうなクリスマスのBGMが聞こえてくる。
 
年に一度の聖なる夜、恋人と過ごすのも良いだろう。友達と会うのはもちろん家族の元へ帰るというのも素敵な話だ。
 
さて、そこで私の身の振り方を考えてほしい。
恋人? いません。
友達? 仲の良い奴らはどっちも部活です。
家族? 我が最愛の兄はやっぱり部活です!!!!!!!!
 
なんで!!!!!
なんでウィンターカップはこのクリスマス真っ只中に試合を被せてくるんだぁあああああ!!!!!
 
百歩譲って高尾と緑間はどうでも良い! 部活頑張れ!
でもお兄ちゃんまでもを私からぶん取るなんて……バスケ、バスケめえええええ!!!!!!
 
いや仕方ない…これはお兄ちゃんにいつか彼女ができた時の予行練習だと思うことにしよう……。というかもう既にバスケが恋人みたいなもんだしな……。
 
というかここはもう考え方を変えよう。私にとって明日は何の変哲もない12月24日(それとも25日?)だ。いつも通りに試合を応援して、いつも通りに家に帰って、疲れたお兄ちゃんを労って寝る、終わり!
 
ま、なんやかんや文句を言いつつも、試合の応援に行くのは楽しみだしね。特に…そう、なんてったって明日は秀徳の初戦だ、応援する側の気合いだって入るというもの。
 
────そういえば、ウィンターカップ自体の開幕は今日だったはず。緑間が今日は誠凛と桐皇の試合があるってかなり気にしてたけど、どうなったんだろうな。
 
関係ないくせに気づけばすぐ頭の中をバスケでいっぱいにしちゃう私も大概だ。目の前のクリスマスのことより、友人達の勝負の行方を気にかけながら、私はベッドに潜り込んだ。
 
 
 

 
 
 
良い天気…ってほどでもないかもしれないけど、まあ別に足元が悪いってほどでもないような気候の中(そもそも室内スポーツのバスケに天気はあんまり関係ない)、私は体育館へと移動していた。
選手であるお兄ちゃんはとっくに家を出ている。私がのんびりと支度をして会場に着く頃には、もうコートの空気は出来上がっていた。
 
全国大会というだけあって、人の入り方も、そこに集まる熱気も期待も、普段とは桁違いだった。選手の関係者やバスケが好きな人、マスコミ、目的は様々でも一様に注目が集まるコートの中を見つめていると、ただの一観客である私にまでその興奮が伝播するようで、思わずぶるりと体を震わせる。
 
空いている席を探すのは面倒だったので、通路の端の、できるだけ迷惑にならないような場所に立つ。程なくして、コートの中に選手が集まってきた。
 
さぁ─────秀徳学園のウィンターカップも、開幕だ!
 
相手は…大仁多高校というところ。お兄ちゃんから聞いたことはある。なかなか良い選手が揃っている…特にPGの小林選手は日本では珍しい長身PGとしてそれなりに名を馳せているんだって。
確かに気迫も技術も全国大会レベルとあって、素人目にですらとても高いことが窺える。

そう……相手の強さは確かに一流のもの。

……それ、なのに。
 
大仁多高校と秀徳の点差は開く一方。
もちろん先を行くのは、大仁多高校じゃない。

――――秀徳学園は、今日も絶好調だった。
特に緑間。彼の勢いはもう他の追随を許さない。もちろんメンバーみんなのサポートあってこそあそこまで輝いているわけだけど、それにしたってあれは眩しすぎる。
 
結局、秀徳学園は大仁多高校に30点近い大差をつけて勝利した。
 
(わかってたつもりだったけど…緑間の気迫は、全国の強者のそれさえ軽く凌駕するんだなぁ…)
 
試合終わり、帰り支度を進める私の頭の中ではずっとずっと今の試合の光景がリフレインしていた。
 
お兄ちゃんが格好良いのはもはやいつものことだ。大坪さんの力強さに木村さんの安定感だってそう。高尾のアシストは相変わらず的確で素早くて、普段のおちゃらけた雰囲気とはまるで別人みたいだと毎回ぞくぞくする。
そう、今回の秀徳は、実に"いつも通り"の強さで勝ちをさらっていった。
ただ、そんないつも通りの中でも一際目を引いたのが緑間。彼の強烈な光だけは、何度見ても慣れない。
 
鮮やかで、流麗なシュート。一つの技を限界まで磨き上げるということの、その絶対的な強さ。恵まれた才能とそれを遥かに越える血の滲むような努力、そしてそこから生まれた揺るぎない自信が、今の彼を作っている。
 
男の人にこんな表現を使うのは初めてだったけど、私は緑間のことを美しい人だと思っていた。あの、普段のちょっと間抜けな姿じゃなくて…そうじゃなくて、彼の信念とか、生き様とか、そういうのが、目を見張るほどに美しい。
 
私にバスケはできないけど、それでも少し、緑間と一緒にプレイできる秀徳のバスケ部の人達が、羨ましかった。
 
そんなことを考えながら会場を出ると、少し離れた街灯の下に見慣れた姿が一つ。
 
「──────緑間?」
 
緑間は、私の声にゆっくりと顔を上げた。
 
ありゃー、すごい偶然。今ちょうど頭の中で緑間を絶賛してたとこだよ。…なんてことは、言わない。そんなことより緑間が一人で何をするでもなく突っ立っていることの方が不思議だった。
 
「高尾は?」
「まだ中で支度をしているのだよ」
 
あぁ、なるほど。
他の選手、というかお兄ちゃんはもう帰っちゃったのかな。まだ中にいるなら、一緒に帰りたいなぁ。
 
「…先に言っておくが、宮地さんもまだ中だぞ」

…そんな考えは(あまりにも日常的過ぎて)簡単に見透かされていたらしい。緑間は私が何かを言うより早くそう教えてくれた。

「そーなの? じゃちょっと待ってよっかな。あ、それともこの後皆さんでどっか行く?」
「いや、あとは各々帰るだけだ」
 
そういうことなら、とお兄ちゃんが出てくるまで緑間の傍で一緒に待ってることにする。その間ずっと沈黙しているというのももったいないので、すっかり忘れていた賞賛の言葉を胸の中から引っ張り出した。
 
「初戦、お疲れ様。おめでとう」
「ああ」
「緑間相変わらず光ってたねー。立ち上るオーラがなんかもうすごかった。うぞうぞしてた」
「うぞうぞ………?」
「うん。うぞうぞって、気迫が」
「…褒めていないことだけはよくわかった」
 
一応褒めてるつもりだったんだけど、全くそれは伝わらなかったようだ。緑間はふんと不満げに鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまう。
 
「そういえば、昨日の誠凛と桐皇の試合は見に行ったの?」
「……誠凛が勝利した」
「………わお」
 
あのエリート揃いで有名な桐皇を破ったのか。それを聞いて、私も見に行けば良かったかなぁ、と少し後悔する。
 
「誠凛ってほんとに驚くようなことばっかりやってくれるんだなぁ。なんだか色んな意味で気合い入っちゃうね。…それとも、別に今更改めて気合いを入れ直すまでもない?」
「誰が相手であろうと、俺達のすることは何も変わらないのだよ」
「は〜、これが王者の品格か〜」
「宮地…さっきから馬鹿にしてるだろう」
 
だから馬鹿になんてしてないってば。駄目だ、私と緑間じゃどうしても喧嘩になる。早く緩衝材(高尾)が来ないものか…!
 
すると、折良く緑間の携帯に着信が入った。
 
「なんだ」
『真ちゃんワリィ、ちょっと中で昔の知り合いに会っちったからさー、先帰っててほしいんだけど良いかな』
 
ここからでも聞こえるその声は高尾のもの。緩衝材キターと思う間もなく突き放されてしまった…けど、昔の知り合いに会うというのは全国大会だからこそ実現すること。久しぶりの再会なら積もる話もあるんだろう。
 
「わかった。ところで宮地さんは────」
『あー宮地さんも所用! しばらく来ない!』
 
私に気を遣って聞いてくれたのであろう緑間の言葉に、高尾が大声で被せてくる。少し急ぐようなその言い方に首を捻ったけど、まぁその友達に呼ばれでもしたのかなと納得しておくことにする。
 
電話を切った緑間は、無表情のまま「だ、そうだ」と私に向かって言った。
 
「…うん、どんまい」
「宮地さんもしばらく来ないそうだが」
「…大人しく帰ろうか」
 
このままここで待っていたところで埒が明かない。私達は揃って、途中まで一緒に帰ることにした。
 
「外で待ってたからすっかり体が冷えたねー」
「雪でも降りそうな寒さだな」
 
私達のどちらもが、普段は家から学校まで歩いて通っている。だからたまに一緒に帰ってもせいぜい10分くらいで別れるわけなんだけど、今日はこの家から遠い会場まで電車で来たから、それよりずっと長い時間一緒だ。しかも付け加えれば、高尾がいないという状況下でもある。
果たして私達はきちんと会話ができるのだろうか。それとも何かしらで緑間に怒られて会話は終了してしまうのだろうか。
 
うーん、よく考えたら長時間緑間と2人って、あんまり経験なかったなぁ…。
 
何を話そうか考えていると、会場の敷地を出た瞬間に"話のネタ"が視界いっぱいに飛び込んできた。
 
「あ、そういえば今日クリスマスじゃん!」
 
昨日の夜あれだけ騒いだのにすっかり忘れてた。そうだ、今日はクリスマスだ。街はイルミネーションで輝き、こんなに寒い日なのに人々はたくさん出歩いている。
 
「…そういえば、そうだったな」
 
緑間も忘れていたらしい。まだ夕方の時間帯だったけど、日の落ちるのが早いこの時期はもう既に空も暗くなっている。雰囲気としては、満点だった。
 
「クリスマスなのにバスケやるのかよこいつらって昨日私すごい文句言ってた」
「…誰にだ?」
「一人で」
「……………」
 
哀れむような視線を向けられてしまった。なんとなく釈然としなかったから、私も負けじと不満げな顔で隠しもせずに緑間を見上げる。
 
「だいたいクリスマスなのに、という表現がそもそもおかしいのだよ。確かにクリスマスはキリスト教の人々にとっては大切な日かもしれないが、俺達には特に何の意味もない日だろう」
「なんか…緑間らしいわ…」
 
いや確かに昨日私も似たような結論は出したかもしれないけど。そしてその言い分は決して間違ってないんだけど。
なんだろうね、この男はムードとかロマンとかに本当に興味がないんだろうね。
 
「クリスマス、お祝いしたことないの?」
「いや、子供の頃は毎年祝っていた」
 
祝ってたんかい! クリスマスって文化がそもそもないお家だったのかと納得しかけちゃったじゃんか!
 
「だったらなんかこう…あの独特の空気の思い出とかー…サンタさん来てくれるかな!? ってわくわく感を懐古するとかー…そうでなくても純粋にこの雰囲気楽しいよねってならない?」
「サンタさんはいないのだよ」
「あ…うん…ごめんよ…」
 
駄目だ、わかりあえなかった。しかも唯一反応があったサンタさんいるいない問題については論点が非常にデリケートな為、これ以上の言い争いはやめておこう。
 
電車に乗った後も、一瞬で過ぎ去っていくイルミネーションを見つめる私とは対照的に、緑間は黙って車内広告ばかりを見ていた。
まぁ、予想できたっちゃできたことだ。緑間はこういうのには興味ない。あくまで今日は昨日の次の日であり、たまたまその日街がやけに明るくてやけに人ごみでうるさかったとしても、彼にとってはただそれだけのこと。
 
別に何を期待していたわけでもないし、最初にもう緑間はクリスマスに興味がないとわかってからは、私も特にそれについては何も言わないまま、降車駅まで他愛のない話をしてのんびりと過ごした。
 
「さ、降りよ」
 
最寄り駅まではあっという間だった。帝光時代の話、高尾がおばかだという話、お兄ちゃんがいかに素晴らしいかという話…まぁ要はいつもお昼時にしてるような話をつらつらとしているうちに、私達は電車を降りていた(幸い怒られて早々に話が途切れることはなかった)。ここから分かれ道まではだいたい5分くらい。緑間はこれからも試合が続くわけだし、できるだけ早くお家に帰してあげようではないか。
 
緑間の歩幅に合わせるように大きく足を踏み出したところで、肝心の本人がついてきていないことに気づいた。
 
「あれ、緑間?」
 
見れば彼は、改札を出てすぐの所で何か考え込んでいるように立ち止まっている。
 
「どしたの」
「…宮地、この後時間はあるか…?」
 
時間? 暇かってことで良いんだよね?
 
「そりゃ、あるけど…」
 
何か忘れ物でもしたんだろうか。
 
緑間の元へ寄って様子を窺うと、言いにくそうに少し顔を歪めた後、しかしはっきりと声を発した。
 
「…少し歩かないか」
「………うぃす」
 
あ、だめだ驚きすぎて変な返事をしてしまった。可愛げの欠片もない返事だったが、緑間は気にすることなく家と反対の方向へ歩き出した。
 
少し歩かないか?
歩いてどうするの? 何か買うものでも思い出した? それとも困ってる人でも見つけた?
 
緑間が理由もなく私を"歩く"ことに誘う理由が本気で思いつかない。例えばこれが、誰でも良い…それこそ高尾だって良い、高尾がそう言ってきたなら、「せっかくのクリスマスだしイルミネーションでも見てこーぜー」くらいの軽い気持ちで言ってるんだろうなぁって軽くオーケーしてた。
でも、世界中でただ一人緑間の場合だけは、その発言の意図がわからない。だってさっきまであんなに真面目にクリスマスに意味なんかないとか言ってた人だよ? え、ほんと何?
 
「ど、どうかしたの…?」
 
疑問が膨れ上がりすぎてしまい、つい素直にそう尋ねる。緑間は私の方など見向きもせず、
 
「この近くに、イルミネーションの名所があるそうなのだよ」
 
とだけ言った。
 
い、いるみねーしょん……?
 
またも頭に浮かぶハテナマーク。緑間がイルミネーションを見たがっている、だと…?
 
3分ほど歩いた後、緑間は立ち止まった。続いて私も立ち止まる。
その視線の先には、見事なイルミネーションの景色が広がっていた。広い車道を挟む並木道。その木々には白やオレンジ、青など色とりどりの電球が飾られ、美しく光り輝く道を演出している。
 
「わ、綺麗…!」
 
思わず不審感を全て忘れて感嘆の声を漏らす。そう、目の前の景色はとってもロマンチックだった。
 
学校のジャージを着ている緑間と、学校指定の可愛くないコートを着ている私。本人達はムードもへったくれもない装いだったけど、その並木道を歩く間はそんなことも忘れて雰囲気に浸る。
 
並木道の突き当たりにはスーパーが建っていた。普段の庶民的でお洒落とはお世辞にも言えないような外装は、この時ばかりは様変わりしていた。ガラスの壁にはシールだろうか、氷やツリー、雪だるまの模様が象られた白い装飾が施され、店内の明かりはガラス越しに夜闇を照らすシャンデリアのよう。
 
私達が歩いてきた道からこの建物に至るまで、その空間は胸を締め付けるほどに幻想的だった。
 
「すごい…駅のこっち側なんてほとんど通らないから、こんなに綺麗なの知らなかった…!」
 
興奮しながらそう言うと、緑間は────あれ、笑って…る?
 
「お前がイルミネーション好きだというのはさっきまでの乗車時間だけで嫌というほどわかったからな」
「え、それで連れてきてくれたの?」
 
自分は興味ないのに?
 
「日頃からお前は俺達の為に色々と考えているだろう。まぁ、いわゆる…その真似事のようなものなのだよ」
 
つまり、私がいつも彼らの為を想っていることの、お礼…的な感じかな?
 
素直じゃない緑間の心理を理解するのはいつも難しい。でもどうであれ、この時間は彼が私の為にと考えて作ってくれたというのは嘘じゃないみたいだ。
 
「へへ…ありがとう、すっごい嬉しいよ」
「…単純なやつめ」
 
緑間はすぐに笑顔を引っ込めてそっぽを向いてしまったけど、今度は逆に私の方が笑顔をやめられなくなってしまった。
 
こういうとこ、あるよなぁこの人。
素っ気なくて他人になんて興味ありませんって顔してるくせに、こういうところは優しいの。
 
イルミネーションに彩られた道をぐるりと一周して、改めて家路につく。緑間は親切を働いた反動かほとんど喋らなかったから、帰りは私が喋り倒してやった。
 
「すっごい綺麗だった! しかもあのスーパーがあんな可愛くなってるなんて思わなかったし、いろんな色が光ってたのも賑やかな感じで良かったよね」
 
…とまぁ、だいたいはイルミネーションの感想ばかり。緑間はもはや聞いてるんだか聞いてないんだかよくわかんなかったけど、私は自分が単純に嬉しかったこと以上に、そうやって彼が私を気遣ってくれたことを喜んでるんだよっていう気持ちを伝えたくて、一生懸命話した。
 
「来年もどっか行けたら良いねぇ……っと、緑間はこっちの道だよね」
 
そうこうしているうちに、分かれ道。私は適当なところで話を切り上げ、立ち止まった。
 
「試合で疲れてるのに、素敵なところ連れてってくれてありがとね! 次の試合も応援行くから! じゃあまた─────」
「来年も」
 
手を振ろうと右腕を上げたところで、緑間が私の言葉を遮った。
 
「来年も、どこか考えておこう」
 
それだけ言って、緑間は私に背を向けてしまう。そのまま振り返ることも何か言うこともなく、去ってしまった。
 
「……良いやつだ」
 
来年は高尾も一緒に来るかなぁ、なんて考えながら家に帰る。思いがけないクリスマスプレゼントを貰った私の足取りは、自分でも笑っちゃうくらいに軽かった。
 
今日のこの日は、きっと私の中で忘れられない良い思い出になったことだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「………………よぉ、オカエリ」
「あれ、ただいま………お兄ちゃん、私よりだいぶ後に会場出てきたんじゃなかったっけ?」
「良いか、俺は緑間だけは認めねえからな!!!!!!」
「あ、うん……?」
 
どうしたお兄ちゃん、今日の試合で緑間に何か不満でもあったのか。よくわかんないけど今日の私は緑間様々モードなので、お兄ちゃんの怒りはとりあえず放っておくことにした。
 
「まあまあ、せっかくのクリスマスだよ落ち着きなよ。てかそんなことより試合、おめでとう」
「クリスマスなんざ俺は認めねえ…高尾も殺す…」
 
うん、もはや何に怒ってるのかわからない。勝ったとは思えないほど不機嫌なお兄ちゃんをよそに、私のクリスマスは終わっていった。メリークリスマス。



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