とても寒い夜だった。今夜の仕事場はガラの悪い虫が湧いている汚い館だ。Dabihはいつものごとく黙ってScopioの後を歩いていた。

「今日の獲物は大きくない。」

「そうですか。でしたら私は部屋の外で見張りをしておきます。」

「ああ、そうしてくれ。」

主の言葉にはいと返したら二人の間にはまた沈黙が戻る。獲物があると情報収集部が言っていた部屋までたどり着き扉に手をかけたScopioの背中にDabihは祈る。今日もこの方が美しくあれるようにと祈る。

静かに扉が閉まったのを確認してDabihは扉に背を預け片手に持っていた今日の相棒を両手に持ち直した。今日の相棒は有名な短機関銃。M&KのMP5。それは華奢なDabihにあまりに不釣合いであったがそれを撫でるDabihの表情は愛しいものを見るそれだ。

手の中にある心地良い重みを感じながらDabihはたくさんの虫の気配を感じ取る。

「やっと見つけた、怪盗さん」

低い男の声にDabihは不機嫌な顔で視線を上げる。

「お嬢さん1人?」

ナンパのような言葉を掛ける男たちの手には銃やらナイフやら物騒なものが光る。

「な、わけないよね?そこの部屋、うちのボスの宝物がある部屋だし。」

Dabihの答えなど求めていないだろう男たちの表情は見えない。

「それにしても見張りに女の子を1人とは、実行犯さんはバカだったね。」

おかしそうにくつくつ笑いながら言った男の言葉にDabihの手が短機関銃の安全装置を外した。




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