トコトコと床を叩くのは男物の革靴の音で、来店のチャイムを聞いたのであろうCancerが奥から出てきた。

「いらっしゃいませ。」

「何か暖かいものを。」

「かしこまりました。」

客の対応したCancerはSadalsuudの元に寄りいつもの笑顔を浮かべて小さな声で呟く。

「そんなに警戒しなくても大丈夫。」

「しかし、警戒するにこしたことはないでしょう。」

「Sadalsuud笑って。お前は可愛いんだから。」

頬に触れられた大きな手に、優しい声にSadalsuudはこの人しかいないと思う。



彼女を魅了する甘い芳香は彼から発せられたものなのか、小さな音を立てて目の前に置かれたフレンチトーストからなのか。





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