「宮地くん!宮地くん!一緒に課題しようよ!」
そう言って昼休みの星座科に現れたのはもちろん苗字だ。他のクラスの教室に大きな声を出しながら入ってくるなんて非常識なやつはこいつしかいない。
「いつもいつも言っているが、大きな声を出しながら教室に入ってくるな。」
俺の席にまっすぐやってきた苗字にそう厳しく言うと苗字はさして気にした風にもなくへらへら笑いながら次から気をつけるーと語尾を延ばす。絶対こいつは分かってない。
「それより、今から一緒に課題しようよ!課題!」
苗字は手に持ったワークと教科書を振り回しながら俺を誘う。
「む・・・課題を一緒にしようとは言っても俺と苗字じゃあ課題が違うから一緒にはできないだろう。」
「いいのいいの。私の課題の分からないとこを宮地くんに聞きたいだけだから!」
なにがいいのかは分からないが、俺に分かることなら教えてやるのは構わないと答えると苗字はワークを広げ、全部!!と笑う。
「・・・ちょっとはやろうとしてこの結果なのか?それとも端からやる気がなくてこの白さなのか?」
あきれつつそう聞けば苗字は珍しく憂い顔で俺から視線を離し胸に手を当てた。
「その・・・宮地くんのこと考えてると胸が苦しくなって課題どころじゃなくて・・・」
もうだめとかそういうレベルじゃない、こいつは。
「よし、課題の前にお前の根性を叩きなおしてやる。」
「え?えええええ!?」
(頼るならせめてそれなりの努力をしてからにしてくれ)
頼るなとは言わない
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