無理なことは知っていたつもりだった。知っていて思いを告げたつもりだったのに砕けた恋心はひどく私を傷つけた。

「おい、名前。」

タイミングがいいというのか悪いというのか、背中に掛けられた声に私は応えられない。

「こんなとこで何してんだ。」

無視したにも関わらずさして気にもしてないように声の主は私の隣に座った。

「んー別に?暇だから星でも見ようかと思って。」

「嘘だな。」

平気なふりをして顔を横に向けると学園の生徒会長と目が合う。

「ははっ嘘なんてついてないよ?一樹こそ何してるの?」

「俺を騙せると思ってんのか?」

一樹はそう言ってくしゃりと私の頭を撫でる。知られたくない。良き友人である一樹には失恋なんかで落ち込む私を知られたくない。

そう思っているのに一樹は私に嘘をつかせてくれるつもりはないようだ。

「泣きそうな顔で笑いやがって」

一樹の口から出たその言葉に私の涙腺は堪えられなくなって涙がはたはたと落ちる。

「や、やだ・・・泣きそうだなんて、これは、汗というかなんというか・・・」

「おいおい、もう嘘ってレベルじゃないぞ。」

一樹は止まらなくなった涙を流しながらもまだ言い訳を続ける私の頭を今度は優しく撫でてくれた。

(私を撫でる手は確かに男の子のそれだった)

なに泣きそうな顔して笑ってんだ

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