いじわるな幼馴染

 
チャイムが鳴ってみんながバラバラと席を離れ始める。そう、待ちに待ったランチタイムだ。

「椿ー。」

ドキドキしながら昼食へ行く準備をする私の前に梓が現われた。

「何?」

そう問えば梓は眉を顰めて何って何?と返してきた。何って何って何?ん?自分でもよく分かんなくなったぞ?

「まあいいや。昼、翼が椿と一緒に食べたいって言ってたから誘いに来たんだよ。」

ふふん。残念だな梓。私には先客がいるのさ。

「せっかくだけどごめん。今日は東月先輩たちと一緒に食べる約束してるの。」

「東月先輩?」

あ、梓いやーな顔してる。機嫌悪いときの顔。小さい頃から変わんない。

「うん。言ったでしょ?友達になってもらったの。」

「ふぅん。でも東月先輩は下心持って椿に近付いてるだけかもね。」

意地悪な顔で梓が笑う。下心ってなんだ。東月先輩は学年も違うし性別も違うしその上、上手に喋れない私と友達になってくれたいい人だ。下心を持ってるだなんて…

「東月先輩を悪く言うのはたとえ梓だって許さないよ。」

「いいよ。どうせ椿は困ったら僕に縋るだろうしね。じゃあ。」

意地悪な笑顔のまま梓は教室から出て行った。どうせってなんだよ。縋るってなんだよ。梓のばか。いや頭は私よりいいけれども。

私はなんだかもやもやしたまま廊下に出て東月先輩を待つ事にした。










(私は悪くないもん!)
(…)
(…多分悪くない…)
(いや、絶対悪くない!)




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