マドンナと先輩

 
天羽くんと知り合い一応話せる友人(知人)が3人に増えた私はそれでもクラスでは今だに一人だ。しかし最近は休み時間や放課後たまたま天文科1年の教室の近くを通ったと言っては東月先輩が声をかけてくれる。東月先輩はたわいのない話をしてくれてそれは純粋に楽しくて友達っていいなと感じる。そんな中で入学して始めての天文科合同授業の日が訪れた。

私のクラスの男子はマドンナと同じ教室で授業を受けられると色めきたっていた。私はなるべく隅の席がいいななんて思いながら教室に入る。


「あ、椿ちゃん!」

教室に入った瞬間呼ばれた。なななぜだ誰誰?キョロキョロしたいのを押さえゆっくりと顔を上げると東月先輩が私に向かって手を振ってくれている。

「椿ちゃん、こっちおいで。一緒に授業受けよう。」

東月先輩も天文科だったんだ。どうしよう本当に嬉しい。私は頷いて東月先輩の隣の席に着く。

「おー錫也、こいつがお前の言ってた女の子か」

「わわ!女の子だ女の子だ!よろしくね!」

錫也先輩の前に座る怖そうな先輩が私をじっとみてふんふんと頷く。そしてその隣にはマドンナ夜久先輩が居た。ニコニコキラキラしてる。しかも手まで差し出してもらってしまった。

「椿ちゃんこいつは俺の幼馴染みの七海哉太と夜久月子。月子のことは知ってるかな?女の子同士だし仲良く出来ると思うぞ。」

あわわわわ。夜久先輩と知り合えるなんて!良かった。本当に私は恵まれてるな。そんな風に思いながら夜久先輩の手を握る。小さいなぁ。私は身長があるため手も普通の女子より若干大きめだ。

「七海哉太だ。よろしくな。」

今度は七海先輩が手を差し出してくれたのでそれに答えようと私も手を出した。

「そうだ!椿ちゃん、今日の昼は俺たちと食べないか?」

が、伸ばした私の手は七海先輩に届くことなく東月先輩に握られた。うひゃああああ!手、手!!手握られてるよ私!男の子に!しかもイケメンに!男の子と手をつなぐのなんて梓以外初めてだ。すっごくドキドキするんですが!鼓動が、鼓動がぁ!!

「ありがとうございます。迷惑じゃないならぜひ。」

「迷惑なわけないだろ?なぁ?哉太、月子?」

東月先輩はニコニコしながらなおも私の手を握ったまま二人の先輩に話を振る。

「もちろん!楽しみだなあ。」

「いいぜ。てかさ、堺だっけ?」

七海先輩にそう問われ私は頷く。

「お前、錫也に手握られてるのに顔色ひとつ変えないんだな。月子だったら握られた瞬間真っ赤だぜ?」

七海先輩はニヤニヤしながら夜久先輩を見た。

「もう!何言ってんの哉太!」

真っ赤になってポコポコ怒る夜久先輩。東月先輩と夜久先輩は普段から手を握り合うような仲なのかと思うとなぜか胸がしゅんとした。










(じゃあ、昼に迎えに行くな。)
(いいんですか?)
(もちろんだよ。)
(…じゃあお願いします。)
(はい。かしこまりました。)




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