いっぱいいっぱいです

 
天羽くんの背中に隠れて早五分もうすぐ教室に集まらねばならない時間だ。


「錫也先輩。もうすぐ時間ですから帰った方がいいですよ。」

「椿が天羽くんじゃなくて俺に抱き付いてくれたらそうするよ。」

「抱き付いていません。」

と、まぁさっきからこんな感じの会話が続いている。

「翼、もうキリがないから行こう。」

「う、うぬ!」

「やだ、梓行かないで。」

動かない状況に嫌気が差したのか(飽きたという方が正しいかも)梓が天羽くんを私から引き離して去ろうとする。この場に二人きりなんて勘弁して欲しいという気持ちから梓の手を両手でがっしり掴んだ。

「だめだ。」

しかし、びっくりするほど強い力で後ろに引かれ私の手はあえなく梓から離れる。そして首に巻き付いて来たのは紛れもなく錫也先輩の腕だった。私の肩に顔を押し付けてきたため目の端に大人しい茶髪がちらついてついでに錫也先輩の匂いまでする。ちかっ近すぎて心臓が痛い。

「す、ずや先輩。」

「さっきの冗談とかじゃないからな。」

耳元で悲しそうな声がする。

「俺が期待したいんだ。椿が俺のこと好きだって。」

ちょちょちょちょっと待って下さい。それはつまりたぶんいや絶対。

「錫也先輩は私のこと」

「好きなんだ。」



あぁ、だめ。キャパシティー不足。













(((椿!?)))
(東月先輩、責任持って保健室まで運んで下さいね。)
(あ、あぁ)



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