女の子を見つけた。錫也先輩が夜久先輩を探しているのを手伝っていたら保健室で見たことのない女の子が寝ていた。星月学園の制服を着ているけれど見たことない子だ。私は星月学園には二人しか女子がいないと言う彼女を連れて取りあえず錫也先輩のところへ向かうことにした。
「どこ行くの?」
私の隣を歩く間にすっかり落ち着いたらしい女の子が思い切り私を見上げて首を傾げる。
「・・・えっと、取りあえず私の先輩のところに行こうと思うんですが。」
私がそう告げると女の子はそっかと前に視線を移す。それ以降黙って歩く女の子は肩あたりまである髪をふわふわと揺らす。
可愛い。小さくて、ふわふわで女の子って感じ。
私もこんな風になれたなら・・・
そこまで考えたところで私の腰にするりと手が絡まって意識はそちらに移る。
「つばっちゃん、可愛い子連れてるのね?」
「巽先輩。」
内心、腰に触れられたことでぎゃああああああああとかああああああ!!とか叫んだけれどよく考えたらこんなことするのは巽先輩くらいしかいない。巽先輩の出現により足を止めた私と女の子。女の子の方は巽先輩をじっと見詰めているようだ。
「男子の制服だけど、女の子よね?」
「そうだと思います。」
巽先輩の問いかけに私が答えると巽先輩はおもいしろいものを見つけたという風にニコーっと笑った。そして後ろを向くと両手を口元に当てる。
「かずくーーーーん!!男子の制服着た可愛い女の子が居るーーーー!!」
巽先輩が大きな声を上げると廊下の角から我が学園の生徒会長、不知火一樹先輩がひょっこりおでました。
「こおら!星華!廊下で大きな声出すな!!」
「会長さん!」
怒りながらこちらにくる不知火先輩に一番に反応したのは意外にも私の隣に居た女の子だった。
え?ええ?えええええ?と混乱する私とえ?と声に出す不知火先輩。そして嬉しそうに微笑む巽先輩の間で女の子は不知火先輩の手を握ったのだ。
「あ、ごめんね。ここの会長さんは私のこと知らないんだよね。」
ぱっと手を挙げるように離した女の子の言葉に私たちは疑問符を浮かべることしか出来なかった。
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