私の額にちゅっと可愛らしいリップ音を立ててキスが降る。くすぐったくて目を閉じたら、今度は肩に心地よい重さがかかる。そっと目を開けると翼の頭が私の肩に乗っていて私の視界で紫の髪が揺れた。

「翼?」

「名前」

ぎゅうっと翼が私を抱きしめるから私もぎゅっと翼を抱きしめた。

「怖い。名前と居ると幸せすぎて怖い。」

弱々しくそう言う翼の顔は相変わらず見えない。だけどきっと大きくて幼いこの恋人は今、泣きそうな顔をしているに違いない。

「いつかこの幸せがどっかいっちゃうんじゃないかって怖くなる。」

私が潰れちゃいそうな強さで抱きしめる翼をよしよしとあやして私は翼の耳元に口を寄せる。

「大丈夫だよ。」

なんの根拠もない言葉だけど翼は納得したのかにっこり笑う。

「名前、愛してる。」

「うん。私も。」

つられて私もへらりと笑う。笑う、けれど私も今が幸せすぎて怖くなる。





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