眞緒ちゃんの勧めに甘え食堂の椅子に座った私の前に美味しそうなドーナツが差し出された。

「これ、今日作った分です。良かったら。」

「おいしそうね。ありがとう。」

私が作った分なんですけど、と話す眞緒ちゃんはなんというか正統派女の子だ。つっこちゃんも正統派といえば正統派だけど、料理が下手な鈍感ちゃんというお約束がついてるし。

「まーちゃんはさ、いいお嫁さんになりそうだね。」

ひとり納得した私がドーナツをおいしく頂きながらそう言えばまーちゃんこと眞緒ちゃんは頭に疑問符を浮かべたような顔をする。

「・・・まーちゃん・・・それ、私のことですか?」

「うんうん。あだ名の方がなんか仲良しな気がするでしょう?」

「ま、そうですね!じゃあ、私も星華先輩って呼んでもいいですか?」

「ええ、もちろん。」

きらきらと音が聞こえるような感じで笑いながらそう返してくれたまーちゃんを見て暖かい気分の私はまたドーナツを頬張った。そのときガラガラと音を立て食堂のドアが開いた。

「眞緒、迷惑かけたな。」

ドアに視線を移すと腕を組み、一樹がこっちに歩きながらまーちゃんに話しかける。

「迷惑?何が?それより一樹兄どうしたの?」

「一樹兄!?」

「うちの星華が部活の邪魔しただろ?星華はふらふらすんな、手間かかるだろうが!ほら帰るぞ。」

私のつっこみを華麗にスルーした一樹が私の手を握りたたせた。その行動を見て今度はまーちゃんがは?と口を開けて驚いた。

「一樹兄、手!?え?握っ!?うちの!?」

かずくん!、一樹兄!どういうこと?!
混乱する私とまーちゃんに挟まれ二股がバレた間抜けな男みたいな状況に置かれた一樹は意味が分からないという風にはぁ?と困った顔をした。そしてしばし、どういうことか理解したらしい一樹は頭を掻きながらまず私を見て口を開く。

「言ってなかったっけか?」

「何を?」

「眞緒は俺の従兄弟なんだよ。」

「ああ、だから一樹兄。」

「そういうことだ。」

納得した私を確認すると次はまだあわあわしているまーちゃんの方を向く。

「んで、星華は俺の彼女。」

「ああ、だから・・・・ってええええええええええええ!!?」

食堂が震える程大きな声でおどろくまーちゃんこと一樹の従兄弟。


こんなおもしろい子が居たことを知らなかったなんて私は大分、損していた。




はじめまして

(眞緒、新入生代表挨拶してただろ?)
(あ、そのへん多分寝てたわ。)
(お前・・・)






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