「エムさん少し疲れました」
「そうね、頑張って」
遠くから愛しい女性の声がしました。
それと一緒にキッチンからオーブンで何かが焼かれる音と、こぽこぽとエムさんが紅茶を入れてくれる音が聞こえます。
「エムさんの為に頑張ります」
「頑張るのは勝手だけど、あたしはお茶にするから」
「私も休憩にしようと思います」
まだキッチンに居るでしょうエムさんと休憩する為に私は作業を一旦止めました。
「エムさん」
「離れて、まだ用意できてない」
「このままで構いません」
後ろから彼女を抱きしめるとふわっとエムさんの良い匂いがします。エムさんの温かさがとても感じられます。
「このままベットに」
「お菓子の用意が出来てない、それでも良いの?」
「全く良くありません」
「離れて」
「……はい…」
名残惜しかったですがもう少し耐えれば夢のティータイムが満喫できるわけですから。
私、頑張ります。
「はい、エル。今日はアップルパイ」
「…このアップルパイは、エムさんの手作りですね」
「えぇ、そうね。出来立てだし」
「嬉しいです。エムさんの手作りスイーツが頂けるなんて」
私の姿を見て微笑んでいるあなたは本当に可愛らしい。
「いただいても良いでしょうか」
「どうぞ。召し上がれ」
いけません、今私はエムさんをいただいてもよろしいかと聞くべきでした。しかし今のエムさんは珍しくご機嫌です。
ここは我慢して甘く香ばしい匂いのするパイを頂きました。
「……」
「…ダメかしら…」
少し不安げに、私を覘いたエムさんの顔が見えました。近いです、まつ毛が長くて少し揺れた瞳が美しい。
「…美味しすぎます…エムさんは天才です」
「そう…良かった、おいしいって言ってもらえて」
あぁ…どうしてあなたは、そんなに嬉しそうに微笑むのでしょう。
可愛すぎて愛しすぎます、私だけのエムさん。
「エムさんはご自分でもう召し上がりましたか?」
「まだよ、エルの為に作ったんだもの」
私、限界です。
エムさんに口付けました。
「…ん…っ!」
私はエムさんの舌を絡ませながら少しずつ口移しで含ませていきます。目の前でしどろもどろになりながら、突然のことに驚いてる様が伺えました。
すべてを送り込んだところでゆっくりとエムさんから離れました。
「とても美味しいでしょう」
「…変態」
「結構です」
潤んでいるのに強気な瞳、真っ赤に上気した頬、甘いものを含んだ唇。
「美味しそうです」
「もう食べたじゃない」
「やはりいただきます」
「…ド変態」
りんごより紅いあなたの頬に、私の味覚は犯されるEND
(苺の貴女と若干被った)(…)
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