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この瞬間が私は嫌いだ。



「…エムさん」

「いーや、らいじょーぶ!」

「全く大丈夫ではありません…」



2ヶ月ほどホテルを空けていた間彼女を一人にしてしまっていた私の責任ではありますが。



「飲みすぎですよエムさん。私がいない間ずっとこうだったんですか」



エムさんはとてつもなくお酒に弱い。別に本人も好きではないから頻繁に飲むわけもない。


「知らなぁーひ」


にこにこ笑って、手をひらひらあおがせて。普段の、控えめなのに気丈な姿からは見られないような笑みをおよがせて。

やれやれ…


「エムさん、もう今日は寝ましょう」

「やぁーらぁー」

「……はぁ…」



エムさんがこんな呑まれた様も久々に見ましたが。


「えるぅ…」

「エムさん?」

「らい、て…ぇ」

「抱い…っ?!」

「ふふふ、じょーらんっ」

「…………」



なだめる方法もあなたに対しては全く無意味で、時として私を困らせることもありますが。



「…え、ル…」



腰に絡み付いた細く透き通るほど白い肌。顔を上げた酒気やら何かで赤くなった頬。



「生きてて…よか、た」



気付いたときには潤んでいた瞳は、揺れて私を映す。



「お帰り、…さい」



しどろもどろな口調でも、苦しそうな今にも泣き出しそうな目が私を必死に捉える。



「ただいま戻りました。エムさん」



一撫でしたら嬉しそうに微笑んで、小さな寝息をたてて眠ってしまった。



「エムさん」



ひどくひどく、愛おしく想う。





知ってたよ、勿論





寂しかったでしょう、不安だったでしょう



END

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