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「アレ…?着信?」
講義中は電源を落としていた携帯を確認すると、一件の留守電が入っていた。慌てて再生させると…
『エム…これを聞いたらすぐに私のところへ来て下さい』
「竜崎!?」
携帯からは竜崎の声が聞こえた。
「え?え?来て下さいって…?やばい、アタシ何かしたかなぁ?」
キラに狙われては危険だから、と滅多にアタシを呼ばない竜崎。
そんな彼からの急な呼び出しにアタシは戸惑った。
「と、とりあえず行かなきゃ!」
しかし立ち往生しているわけにもいかず、急いで鞄を掴み、今竜崎達がいるはずのホテルへ向かった。
「竜崎!!」
松田さんに案内された、今竜崎が一人で篭っているという部屋のドアを開け、中に駆け込む。
すると
「随分早かったですね、エム。まだ最後の講義が終わってから15分も経っていないでしょう?……まさか、わざわざ走ってきてくれたんですか?」
なんて言いながら彼は砂糖をこれでもかと入れた、いつもの紅茶を啜っていて…。
アタシが走ってきたことなんて、息が上がってるのを見ればわかるだろうに。
「だって…竜崎から呼ばれるなんて久しぶりだったから」
言ってることが段々恥ずかしくなってきて顔を俯けるアタシ。しかし
「あんまり可愛いことを言わないでください、エム…襲いたくなります」
「ちょっ///」
いつのまにか近づいてきていた竜崎に顎をとられ前を向かされた。
至近距離にある竜崎の顔に言葉を失う。
一方の竜崎もそれっきり黙ったままアタシを見つめていて…
『恥ずかし過ぎるって!』
顔が紅潮していくのが自分でも、わかる。
続く沈黙に我慢できなくなったアタシは
「りゅ、竜崎?」
恐る恐る呼びかけた。すると竜崎はハッと我に返ったような顔をして……
「エム…」
急にアタシの右手をとって
「今日で一ヶ月です」
って言いながら
「えっ?竜崎!?」
小指に指輪をはめてくれた。
その指輪には綺麗なチューリップの細工が施されていて、花弁には紫の宝石が埋め込まれていた。
「コレ…」
不意打ちの意外なプレゼントと、竜崎の言葉の意味がわからない…。
戸惑って思わず竜崎を見上げると
「今日で、私達が付き合って一ヶ月です。忘れてたんですか?」
って、どこか不服そうな顔をしていた。
ようやく意味を理解したアタシは慌てて謝ろうとして口を開く。
「あっ!そうだ!今日31日じゃん!どうしよう!アタシ、何にも…ンッ」
けれど、その言葉は最後まで言わせてもらえず、竜崎の口で塞がれた。
「私にとっては貴女が何よりのプレゼントです」
「クサイよ…もぅっ///」
離れた後に紡がれるのは甘い言葉。
それこそ、貴方がいつも飲んでる紅茶よりも、ずっと、ずっと…甘い。
「ねぇ、竜崎」
視線を逸らしながら、呼ぶ、彼の名前。
「何ですか?エム」
「次、くれる指輪さ…」
「はい?」
あー…本当に恥ずかしいっ!こうなりゃ自棄だ!
「左手の薬指にはめたいなぁ」
「ッ!!」
「ダメ…?」
絶句した竜崎に、不安になって一度は逸らした視線を再び向ける。けれど
「駄目な訳ないです。エムにそう言われるなんてとっても、光栄です」
見つめた彼は笑みを浮かべていて。
杞憂に終わったアタシの不安は
「じゃあ楽しみに待ってるよ、竜崎」
「えぇ。その約束、今度は忘れないでくださいね?」
「わかってるってば!!」
何倍もの愛情に変わってアタシの中を満たしていった。
「愛してるよ、竜崎」
「私もです。エム」
どうか来月も来年も、彼の隣で笑えますように…。
END
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