「竜崎ってさ」
お昼のケーキを一口食べた時、彼女は私に唐突な質問をしてきました。
「はい、なんでしょう?」
「…なんで太らないの?」
「…頭を使ってるからですかね」
「何でそれで太んないの?!そんなの理由じゃない!」
「……何でと言われましても…」
「だって今日だってもう10個もケーキ食べてるのに!竜崎だけズルイ!」
「違います」
「何が?」
「13個目です」
「…ズルイ…」
あらら、彼女完全にヘソを曲げてしまいました。
ソファに横たわって拗ねているようですが、その手にはしっかりと教科書なる物が握られています。なるほど彼女も学生です、勉強も大切でしょう。
「まぁケーキの話は良いとして、何か分からない所ありますか?力になります」
「良い、勉強なんてやったって痩せないから」
拗ねないで下さい、そんな事言ったって彼女は意地っ張りだから余計に拗ねてしまうでしょう。こうなってしまっては私は彼女を見守る事しか出来ません。
世界の切り札とは言っても、所詮貴女の前ではただの男ですから。
「…6×5は…25…?…違うかな…?」
私も違うと思います。小声でブツブツ計算しているだけですが、どう考えても貴女の年齢にそぐわない内容に思えるのは私だけでしょうか?
そうやってまじまじと貴女を見ていると、いつもよりも貴女を見る事が出来ました。
いつも貴女は私のところに来る時は、私服でした。
それはそれで、目に入れても痛くない程可愛かったのですが。今日はあろう事か学生服、セーラー服というヤツですね。
とても似合ってます、萌えてしまいます。
「何故いつもスカートは着ないんですか?」
「嫌いだから」
今の私でしたら、本当に目に入れてしまいそうです。いえどちらかといえばじっくり味わいながら食べてしまいたいです。
「…竜崎」
「なんでしょう?」
「今ヤらしい事考えた顔してた」
顔も見ていないのにそんな事を言う貴女は、どんな凶悪犯よりも恐ろしいです。
「ついでに言いますと」
「何?」
「下着も覗かせています」
「な…っ?!」
慌ててスカートの端を押さえる貴女、それは嘘です。でもそんな生足チラ付かせて赤らめているのは教育的指導ですね。
白い彼女の綺麗な足がスッと丈の短いスカートから伸びているのを見ていると。私も健全な男です、食べたくなっちゃいます。
私は行動派なんですよ。
「ちょ…竜崎」
「はい、なんでしょう」
「…降りてくんない?」
「お断りします」
ソファに足を伸ばして寝そべっていた彼女の体に馬乗りになった私は、まじまじと彼女の表情を窺いました。
「とても赤いです」
「…そうね」
「とても可愛いです」
「…お世辞はいい」
「本当です」
「…もう良いから…」
「いつもの余裕がみられません」
「…うるさい」
強がっていても所詮女の子です、照れているのでしょう。
本当に苺のように赤くて、
それは私の大好物です。「…苺…ケーキのこと?」
「貴女のことです」
「……気障」
「いただきます」
「ばかっ…明後日テストなんだけど!」
「勉強は私が教えます、明日は学校休んでも大丈夫です」
熟れきった苺のように真っ赤な貴女。私の何よりの好物です。
たっぷり味あわせてください。
END
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