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竜崎の顔が近い。

「あっ…んッ…そこ、ダメっ」

竜崎の息が、あたしにかかる。

「はぁ…何言ってるんですか…ほら、こんなに赤くなって…」

今は不在のミサさんの部屋で、こんなこと…

「ダメだってば竜崎…っ、ここじゃみんなが見て…ひゃっ?!」


『こんな所で何をやっとるんだ君たちはーっ!』


や、やっぱり見られてた…

スピーカー越しに夜神さんに怒鳴られちゃった。


「何って…エムさんの目にゴミが入ってしまったというので。ほらエムさん取れました」

「あ、ありがとう竜崎…」

「しかし盗み見るとは。全くもって不愉快ですね」

『ミサの部屋でそんな声を出してる事の方が捜査中の僕らには不愉快だ』


あ、あはは…誤解されて当然だよね…


「ごめんなさい皆さん…」

『エムさんを責めてるんじゃないんです!竜崎がいやらしい行動でエムさんを…』

「聞き捨てなら無いですね、私のエムさんが目にゴミが入って痛いとおっしゃるので取ってあげたんです。これは一番エムさんを苦しめずに助ける方法です」

『だからって舐めて取る奴があるかぁぁぁぁッ!!』

「エムさん気にせず続きをしましょう」

「へ?」



あたしはそのまま竜崎に腕を引かれ捜査本部を通り過ぎ、竜崎の部屋に連れて行かれた。



「えっと…え、何で?」

「エムさんは良いんですか?」

「何が?」


竜崎の顔が近づいてくる。竜崎の瞳に、あたしが映る。


「目も充血していましたが顔も真っ赤でした。その気になりませんでしたか?」


その気って…、…っは?!


「なななななってないよっ!」


あたしの声を聞くと、竜崎はあからさまにしゅんとした。


「そうですか…そそられたのは私だけなんですね…」


竜崎はあたしの肩から手を離すと、そのまま自分のベットに向かった。


「竜崎?」

「少し仮眠をとると伝えてください」


パフっと毛布を被ると、静かな寝息が聞こえた。ていうかこれ不貞寝?ちょっと拗ねてたよね、今の竜崎。

あたしは気になって、竜崎が包まった毛布を少し避けてみる。

…寝てる、可愛い寝顔…。

すぐに拗ねるトコといい不貞寝といい、本当に子供っぽい人。



「…こんな人が世界の切り札、なんて…本当驚いちゃうよね」


そっと、竜崎の前髪を梳いてみる。


「…あんなに近くで顔なんて合わせたら、真っ赤にだってなっちゃうわよ…」


穏やかで、優しい寝顔。


「目舐められるなんて…初めてだったけど…」


嫌じゃ、無かったな…。


「…眠ってる、よね…?」



竜崎が眠ってるのを確認してそっと、本当に軽く竜崎のまぶたにキスをした。



「好きだよ」

「ありがとうございます」

「へ…?」



いきなり視界が反転して、次にまぶたを開けた時には竜崎がいた。目を…ばっちり開けて。



「嬉しいですエムさん、やはり私たちの思いはひとつでした」

「え、ちょっあたしは、目舐めるって…どんな感じかなぁって」

「そうですねエムさんの場合は舐めるというより口付けでした」

「で、でも別にその先がしたいとかそーゆーんじゃ」

「真っ赤なエムさんは素直です」

「…ずっと起きてたのね」

「そんなに早く寝れるわけがありません」

「…それもそうですね…」

「と、いうわけで」

「はい?」

「寝られないので、その続きをしたいと思います」





寝ている貴方の目元に、口付けてみる。





もう二度と、竜崎の目に口付けなんてしてやんない。



END