「世の中は、本当」
みーんな、アバウトなんだよ。
「変なティキ、どうしたの?」
突然そんなこと言うから思わず笑ってしまった。ソファにのけぞる褐色の長身はまたカードから目を離さないまま返答。
「なんかエムの顔見てたら、言いたくなった」
「何それ」
ひっくり返ったジョーカーの絵柄に、不思議な気持ちを覚える。
「所詮、上辺ってことかもしんない」
苦笑いを交えて、ティキはまた次のカードを返して、その繰り返し。
「あたしのこと?」
「いーや、どちらかっていうなら、世の中のコト」
綺麗なコト言って所詮自分を守って欲しいだけ。自分を可愛いがってほしくてたまらないだけ。綺麗な言葉でオブラートに包みこんでるだけの霞がかって真実なんて見えたもんじゃない。
「本当。私とは無関係」
「ま、な。だけど」
手招かれるままに近付けば男らしい腕が目の前にまわされて。
「エムも、またアバウト」
何度も何度も色んなとこに口付けられて、溶けそうなくらい火照る身体。
「エムも俺が見えないとこがたくさんある」
寂しいぜ俺は?なんてふざけ半分な口調だけど、ティキはあたしに対して愛情を隠したりなんてしないから。
「だいたいだけの愛なんてこんな虚しいモノはないだろ?」
俺はアバウトなままじゃヤダな、なんて手を滑らせて。
「エム」
世界が終焉を迎えた時は、
「俺に教えてよ」
懇願するほど君に心酔してるんだからさ。
「アイシテルよティキ」
「ん、知ってる」
待ってるから!ずっと終焉をあなたが連れてくるまで。
END
thank you 江戸物語
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