「無理だと思う」
「ヒドくね?」
読み書きそろばん、と東洋では言うのだけど。
「読みしか出来ないでしょ」
ポーカーを始め、賭事に滅法強いのはイカサマのおかげ。ガチでやった知能戦に負けたことは残念ながら無い。
「まぁ先生って、勉強教えるだけが先生じゃないっしょ」
「あたしが望んでるのは勉強教えてくれる先生」
やばいのよ、今度のテスト。
「出席日数悪いから」
「双子と夜遅くまで遊んでっからだろ」
学校なんて行ってもなかったティキに言われたくないなんてぶーたれて。膨らんだ頬が、また可愛いなんて言うから。
「ロリコン」
「大した歳の差ねぇだろ?」
一人で教科書広げてノートを汚す。このくらいなら、ティキの教えを請うまでもなかったな。
「エム」
「なに」
目はまだ、課題に向けたまま。
「つまんね」
「知らない」
これが終わんなきゃ今週掃除当番になっちゃうもの、なんてくだらない理由。
「なぁエム」
綺麗な男の人らしい指先が絡まる。
「や、だ」
ぎゅうって後ろから抱き締められて、首筋にたくさんキスされて。
「オレ、エムに教えられることたくさんあった」
ベットの上が教卓だけど、なんて。
「講義、受ける?」
反論の言葉も呑み込まされて。
「エムは義務教育だけどな」
やりたい放題の教育方針。
「ティキ、課題…」
「センセーって呼んで」
その笑顔はレッドカード。
「センセーのせいで、また怒られちゃう」
わざと音を立てる口付け。
「エムはずーっとオレだけの講義で良いよ」
センセーからはたくさんのことを学べそうかもね。
教えて、生きてるアカシ。
俺、結構得意なんだけどあなたに合わせて私づくり。
END
thank you 江戸物語
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