少し眠ったらやっぱりラビは側に居てくれて。ご飯に行こう、って言ってくれた。
「あらエム!もう身体は大丈夫なのかしら?」
「ジェリーさん…大丈夫です、ごめんなさい」
「謝ることなんかないわよっ!エムのために元気つくの用意するわねっ!」
食堂は珍しく人もまばらで多くの人達が出払ってしまってることがわかる。
「今はユウもリナリーもアレンもみんな別任務に出ちまってるんさ」
最近忙しいんだよなー、なんて笑いながら言うからつられて思わず笑ってしまった。
その時だった。
「てぃ、キ」
ガタン、と椅子は思った以上に大きな音をたてた。
「エム?」
「…んで……嘘…」
でも聴こえたんだ。
「エム!」
あたしは一目散に走った。キリキリと痛むイノセンスも私の名を叫ぶラビの声も足を止めることは出来なかった。ただひたすら、声が呼ぶ方へひたすら走った。
「…嘘」
「嘘じゃないよ」
気が付いたらあたしは宙に浮いている彼に抱きかかえられてて。そのずっとずっと下にラビが居た。
「てめ…っ…何者さッ?!」
褐色の肌の紳士であることしか確認出来ない彼は、ここからでも分かるほど顔をしかめていた。
「初めましてエクソシスト」
礼儀正しそうに挨拶をした彼は抱きこむ腕に強く力を込めた。
「エムは俺が貰ってく」
「ふざけんなッ!」
鎚で追いついてきた彼から逃げもせずティキはただその場に立っていた。
「エムは俺の恋人さッ!」
「…残念ながら、」
あたしの腕を締め付けていたイノセンスにヒビが入った。
「エムは俺の家族で、俺の恋人なんだ」
ガラスみたいにあっけなく。
「お前…っ…ノアか!」
イノセンスは壊れた。
「もうエムはエクソシストじゃない、少年と一緒にここにいる必要はない」
彼との別れはあっけないものだった。
「エム──!」
「エム」
哀しいかと、彼は言った。
「…うん…、少し」
だけど、
「…ティキがいない方がもっと哀しい」
そうか、なんて笑って額に軽い口付け。ずっとずっと気になってたことがあった。
「あたしのことずっとずっと昔から」
「呼んでたよ」
ずっとずっと、昔から。
「どうして…?」
彼は少しだけ驚いた顔をして、でもすぐに笑って。
「エムはさっき、どうして俺を呼んでくれたの?」
一歩前のガラス扉のその先理由なんて、共有してるものでしょう。
「もう離さないから」
END
Because“I Love You”(愛しているから)
(ティキ→ヒロイン×ラビ)(ヒロインが教団に連れていかれるまでの孤児院育ちの幼馴染みだったり)(だったり?←)
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