「逢いたいよ」
「逢えないよ」
でもやっぱり、
「逢いたいよ」
心臓が叫んだ。
「本当に…一人で平気さ?」
「うん、大丈夫。ラビは東をお願い」
レベル1のアクマが異常発生したこの地区には少なくとも一般人は一人もいない。雑魚だから人数はごく少数での任務だったけれど数が多すぎて一向に片付かない。
「はぁ…、はぁ…何…?」
ところが彼と東西に分かれた瞬間、目の前はガラリと静まりかえってアクマは一体もいなくなった。
その代わり、だったのかもしれない。
「初めまして、エクソシスト」
随分と上品そうな褐色の紳士が頭を下げた。
「…ノア…ッ!」
イノセンスが、私を駆り立てる。彼を、ノアの血を、殺せ…!
「…辞めなエム」
まただ、だけど初めての感覚が襲った。
「やっと俺に気付いてくれた」
心臓が叫んだ。
Call my name!苦しいの?逢いたいの?懐かしいなんて錯覚はいらない。
「離し、て」
「誰が」
あんまり哀しそうな目であたしを見ないで。
END
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