「あ」
「…」
毎日毎日懲りもせずにと思う。何が楽しいんだか知らねぇが玄関先で俺と出くわすと嬉しそうに笑う。
「おはよ晋助」
「………よォ」
こいつのおかげで家を出た瞬間から俺の長くて面倒臭くて、ひどく胸苦しい一日が始まる。
「朝ちゃんと食べた?」
「…食欲なんかねぇよ、朝っぱらから」
「んもー、ちゃんと食べなきゃダメじゃん頭働かないよ!」
「別に授業なんざ出ねぇから関係ねぇよ」
「またそんなこと言って」
なんて母親みてぇなこという同い年は隣家に住む幼馴染み。
「Z組の一時限目は」
「んなもん知るかよ」
「現国!銀ちゃんのくらい出てやんなよ」
「…なんでお前が知ってんだ」
本当に母親みてぇだな、小学校低学年くらいのガキの。
こんな会話、うぜぇとか、黙れとか、いくらでも言える。朝からタルいのに、そもそも定時に家を出て屋上でサボるなんてバカげたこともしねぇ。
しちまってる俺はなんなんだ。
「お昼まで屋上?」
「…あぁ」
でかでかと掲げられた校章の目立つ学び舎が見えてきた。
「お弁当作ってきたから待っててね」
いつもお前はそう言って笑う。
幼なじみこれだから、俺の胸は締め付けられる
あまり期待させてくれるな。
「友達いねぇのかよ」
「晋助も大事な友達」
憎まれ口もかわされたんじゃ、なす術もねぇ。
END
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