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(3Z高杉)

「…オイ」


返答はない。
もう一度声をかけるまでもない気がしてそれ以上俺は何も言わなかった。女を蹴り飛ばすのは、何となくだるく。

空はまたなんとキレーに澄みきって、あぁこれは何度目なんだと思い返される。


「変な女」


煙をふかせ女を鳴かせサボり続ける俺がいる中で、こいつはいつもいつも給水タンクの上で眠っていた。
本来立ち入り禁止の屋上で、当然のように最初からいたんだ。

俺を知らねぇはずもねぇし、俺も知らねぇはずはねぇ。


「おい、起きろ」


初めて、その肩を揺すった。
ん…、と眩しそうに目を覚ましすぐに意識を取り戻した。


「…なに…」


わりと、目覚めのいい目をしていた。俺は初めて声を聞いたし、初めてその瞳を目にした。


「私に、何か用」


別に特に気にした様子もなく俺が顎掴んで目を合わせても動じない挑戦的な眼をしてて。


「上等だ」


噛みついても絡みあっても冷静だった。


「クククッ…おもしれー女」

「酷いわね、いきなり」


何度重ねても満足しない。暴れ始める身体に住み着く獣。


「ずっと、見てたんでしょ」


あぁ、そうかもしれねぇ。
どんなときでも俺の上でただ眠り続け何が起きても動じないこの女を俺は、いつか見下ろしてやりたいと思ってただけなのかもしれない。


「なぁエム」





もう疲れたんだけど





次はお前が俺の虜になれ。



END

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