PROJECT | ナノ


(現代パロ×シスコンカク)



「エムー!」

「おっ、お兄ちゃん?!」

「遅いから教室まで迎えにきてしまったぞ」


あたしのお兄ちゃんは妹依存症と書いて、シスコンです。






「カク、お前卒業生だからって勝手にホームルーム中の教室に入って来ていいってもんじゃねェぞ!」

「あーあー分かっとるわい、すまんかったな。さ、エム帰るぞ」

「お前っ、元担任の俺の話聞いてたか?!」


ちょっと強引だし目立つから恥ずかしいんだけど、それもあたしのことを心配してくれてのことだと思うとあんまり強くは言えない。友達にはエムも大変ねぇとかいいお兄さんじゃないとかって言われるけど、実際一長一短だ。


「ったく…シスコンも大概にしろよ」

「余計なお世話じゃ」

「おめェも大変だろ、こんな兄貴持っちまって」

「エムに話しかけるな、その間抜けヅラがうつるわい」

「だから俺はお前の元担任だっての!ちったぁ敬え!」

「あはは…じゃあ、お兄ちゃん、帰ろ?」

「そうじゃな」


他のクラスのホームルームもちらほら終わり始める頃だ。大学生だから私服っていうだけでここでは目立つのに、手を引かれてるのなんか見つかったらまた大騒ぎになってしまう。早めに学校から出ていこう。


「…」

「…?」


いつもなら楽しそうに、あたしに今日何があったんじゃ?とか夕飯はカレーがいいのう、とかって言うのに。今日はやけに静か。


「どうしたの?お兄ちゃ…」

「エム、わしのことはなんて呼ぶんじゃったかの」

「あ……か、カク…」

「正解じゃ」


いい子じゃの、と言って頭を撫でてくれるお兄…カクは優しい。でも、怒ると普段優しい分、すごく怖い。あたしを怒ることはほとんどないけど、怒ってるところはあんまり見たくない。


「のう、エム」

「ん、なに?」

「わしに彼女がいたらどう思う?」

「え、いないの?」


お兄ちゃんが女の人と一緒にいるところを見たことは、無くはない。去年までは同じ高校だったわけだし、お兄ちゃんはモテてたと思うし。


「いや、まあ…どう思うんじゃ?」

「どうって…見てみたいなぁ、綺麗な人かなぁ?とか思うかな」

「嫌じゃないのか?」

「?やじゃないよ?」

「…そうか」


心なしか、伏し目がちに見えたカクの横顔は寂しそうに見えた。


「カクは、あたしに彼氏が「おるのか?!」

「い、いないけど……」

「そ、そうか」


突然大声出すからびっくりした。カクがそんな慌ててるとこなんて初めて見たかもしれない。


「いたら、どう思う?」

「…ぶち殺してしまうかもしれん」

「え…?」

「わはは、たとえ話じゃ」


カクの横顔は全然笑ってなかった。





喉から手が出るほどに
君が欲しいと言ってしまいたい



END

(一応担任の先生は長官)(わかりづらっ)

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