PROJECT | ナノ


(現代パロ×シスコンパウリー)



「エム、駅前にケーキ屋ができたじゃろ?一緒に行かんか?」

「え!行きたい!」

「待て待て待てェェ!!」


あたしのお兄ちゃんは過保護で照れ屋だ。






「おぬしもいい加減にせんか」


過保護にも程がある、とカクは溜息をついた。

カクとあたしとお兄ちゃんはご近所さん、いわゆる幼なじみというやつなのだけど、小さい頃からひとりでに転んだり、背が小さかったりと何かと頼りなかったあたしの側にはいつだってこの二人がいた。高校も同じ所じゃなきゃ許さないとか、あたしもさすがに小さい頃のように頼りなくはなくなったつもりなのだが、どういうことかこの兄はいつまで経っても妹立ちができない。


「エムはもう大人じゃ」

「関係ねェよ!しかもエムはまだガキだっつーの」

「ま、失敬な」

「そうじゃ、エムのファーストキスはわしがいただいたぞ」

「ふぁ……っファースト…ッ%#♭≒?!」

「カク、お兄ちゃんには冗談にならない」


あーあ、沸騰してしまった。カクはそんなこと言いながら、冗談で済ます気はないがの、なんて笑っているから、まったく他人事だと思って。


「それはそうと、この前ルッチがまたエムにラブレターを出しておったぞ」

「そうそう、バラの花束もくれたからありがたく貰っておいたよ」

「玄関のバラはあいつのか!」


近付いてくる男の人はみんなお兄ちゃんがのしてしまうから、あたしは彼氏ができたことがない。そりゃ年頃だもん、彼氏の一人や二人経験してみたいけど。


「とにかく!!エムに手ェ出しやがったらお前でも許さねェからな!」

「わかったわかった、バレんようにやるわい」

「やだカクったら、冗談きついって」

「わははは、わしは本気じゃぞ?」

「お前らぁああ!」


この関係がどこか心地よくて、ぬるま湯と言われようがなんだろうが、このままで良いんじゃないかとも思っている自分がいた。お兄ちゃんに彼女ができないのをあたしのせいにされても困るけどね。





20歳まではお兄ちゃんの言うことを聞きなさい!
そこから先も男はまずお兄ちゃんに紹介しなさい。



END

(パウリーをいじり倒したかっただけ)(←)

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