(CP9×15歳カク)
「のう、エム」
背伸びが、したくて。
すべては彼女と並びたかった、だけなんじゃ。
「じゃって…その喋り方本当に続けるの?」
「愚問じゃ」
「ふーん」
興味があるんだかまるでどうでもいいんだか、それだけ言うとまた酒を口にする。たっぷりとした髪を耳にかける姿に内心掻き乱されてしまうあたり、幼いのかと思わされた頭を全力で振り切る。
ふと、エムが眉をしかめる。
「変だよ、じゃとかわしとか。可愛くないよ?」
そう言ってふにっとわしの頬をつまむ。
「いつまでも子ども扱いするな!わしも今年で15じゃぞ」
「だから、まだ15だって。わたしなんて」
もう20歳だよ、とひらり手を離した。
「ふん。わしはもう大人じゃ」
わしはもう、エムと同じはずじゃ。
「ちょ…っ」
ぐいっとエムが持っていたグラスをひったくって喉に押し込めた。途端にむせ返ると、エムがあーあーとタオルを口へ持ってきてくれた。
「ぎゃははは!情けねぇなカクー!ガキじゃねぇなんて世話ねェ」
「うるさいわい!手合わせではわしより道力の劣るくせに!」
「んだとォ、やるかテメェ!」
「うっさいガキ二匹!喧嘩するなら出てけ!」
「…っち」
「ふん…」
きゅぽん、とこの場で平気な顔して酒を傾けるもう一人。
「エムも一度くらい相手をしてやればいい」
「アンタの相手をしてやった覚えもないわよ」
それに、
「カクはまだまだ、お子サマ」
「なんじゃと…っ!」
「なんだ俺ならいいんだな」
「勘違いするなバカヤロウ」
「(ルッチの顔面がへこんどる…)」
エムは一連のやり取りに愛想が尽いたのか、顔面から手を引き抜くとすっと席から立ち上がってドアノブへ手をかけた。
「あと」
「…?」
「あと5年経って気持ちが変わらなかったら」
その時考えてあげる。
そう言ってエムは微笑んだ。
いつか!必ず伝えに行くから、それまで待ってろ。
END
(長編ヒロインとは別のつもり)
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