「は?」
この人たち、今なんて言いましたか?
「お前には訓練を受けてもらう」
あたしの耳が悪いだけかもしれない、きっとそうに違いない。
「すいません医務室行ってきます」
「まだ怪我もしてねぇよバカ」
踵を翻したっていうのに、足は宙を駆けるだけ。ついでにまた殴られた。
「変なトコ掴むな!この変態!バカ!」
「首根っこ掴んでるだけだ狼牙」
ジタバタさせるのもいい加減疲れてくると足は床の感触を手に入れた。襟はジャブラが摘んだままだ。
「離して変態ナマズヒ、ゲェッ?!」
「ぶん殴るぞテメェ」
「殴ってから言わないでよっ!」
「漫才じゃな」
…まぁ、分かるけどね。
確かに、あたしみたいなのがそこら辺歩いてていいような場所じゃないのは、分かるけど。いや、だからって、訓練とかそういう厳しそうなのは嫌だ、嫌と言うより向いてない。CP9の職柄があたしの認識しているもので違っていなければ。
「無関係な人間をここに置いておくには限界があるからな」
「訓練って、あれ…」
「六式、聞いたことはあるかの?」
「…知ってる」
「(なんでだ?)…簡単に言えば体技だ。お前に任務を任せる気は更々ないが、何かあったときに身に付けておいて損は無い」
……何かあったときって、この先何かあるのかあたしは。チラリと横目でジャブラを伺ってみる。
「痴漢対策は?」
「瞬間ノックアウトじゃ」
「乗った」
「俺対策かよ?!」
「あとルッチとカ」
「エム」
「ルッチとか!」
「(俺は否定しないのか)…」
「(エムのこととなるとルッチは弱いチャパー)」
「(反論すらしないのだからな)」
刀ちらつかせられるともうどうしようもない!脅迫だ脅迫。
「訓練、受けるんじゃな?」
一瞬よぎった、“ここから出ればいい”という選択肢は、すぐにスルーされた。だってここに居たいんだもん。これは、あたしの意志。
「(どうする、誰が教えるんじゃ)」
「(俺)」
「(独り占めは許さねぇ)」
「(私も入れてくれるかしら)」
「厳しいのはヤダなぁ…」
理由を作るための選択
身の危険は迫るばかり。
END
みんなエムさんが可愛くて仕方ない!
←|back|→