「エム、どこに行くんじゃ?」
そっちはジャブラの部屋の方じゃぞ。
「ブラさんブラさん」
「あァン?なんだエムか、どうした……ぶわっはっはっ!なんだそのシャツは」
「うっさいナマズ」
「(こいつなんでこんな態度でかいんだ)」
建物の中をふらふらしていると、ほぼ外みたいなガーデニングが施された部屋(?)のど真ん中に大いびきをかいてふてぶてしくブラさんが寝ていた。
ここはブラさんの部屋なのか。全然カンフーっぽくない。
「ルッチはどうした」
「ん、チョーカンに呼び出されてどっか行った」
「はーん、任務か?」
まぁなんだっていいけどな、と言いながらまた寝出そうとするから「起きて!」とチョップをかます。
「ふがっ!」
「ねー買い物にいきたい」
「はァ?」
「見たら分かるでしょ、着る服ないの」
「いいじゃねぇかルッチのガキの頃のその…ギャハハハ」
「なんもおもしろくないわ!」
長っ鼻王子となんて言ったら命がいくつあっても足りない、ルッチは問題外、カリファ姉さんは…あの通りだ。よってブラさんが実は、一番無害なんじゃないかという結論に達した。
「ねー、お願い!」
「お前買い物行くっつったって…俺たちは任務以外でそう滅多にここを出ていくっつーのはねぇんだぞ」
「ジャブラ……だめ?」
「!(ぎくっ。う…上目使い)」
頭の中では何考えてるんだか分かんないけど、笑ってみたり眉しかめてみたりちょっと赤くなってみたり困ってみたり、いい歳そうなオッサンがなんとかわいく見えたものか。
「ハァー…」
「ねぇだめなの?やだやだー!」
「いたっ、バカ!わかった行くから!顔殴んな!」
「よしきた!!ありがとう!」
「ジリリリリリ!」
「…ったく、長官から召集だ。行くぞ」
完全に彼女のペース
(たたた…)
(ジャブラ顔が赤いチャパー)
(エムにチョップかまされた)
(なんと、鉄塊はしなかったのか)
(出来るわけねェだ狼牙)
「ねーねーいつ行くの?」
そんなことしたらエムが怪我するじゃねぇかなんてことは、もちろんみんな分かってる。
END
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