「あら、おはようエム」
笑う門には福来る。
決して愉快な朝ではなかったけど廊下の角から福はやってきた。
「あ!おはようございます!」
感動の再会!あたし的唯一の理解者にご対面だもの!こんな本物のケモノの群れの中での同性なんて、すごく心強い!
「朝はルッチと一緒だったのかしら」
「あ…はい…」
そのネタはテンションガタ落ちだお姉様。朝から猛烈な変態とのグッモーニンはつらかったです、とっても!(もちろん全力で逃げたさ!逃げないと死ぬんだと言い聞かせて!)
「まぁ、ごめんなさい…気分を悪くさせてしまったら。もう“事”は済んだのかしら」
ちらっと向けられた、首。
「“事”とか…っ!俺のもんだ宣言で勝手に調印されたの!同意無し行為無し!」
「まぁまだなの?ルッチにしてはよく耐えたわね」
笑いながら慰めてくれるカリファ姉さんはやっぱり心の支えなのかも。慰めてるってよりはミスターお盛んに対する講評?あの人は出会ってほんのちょっとの小娘と本当にヤれちゃう奴なのか。(それを我慢するのがすごいってどんだけ人間の底辺だアイツは)
「まぁ、言うようになったわね」
相変わらずなまめかしいお洋服でクスクス笑って、子悪魔だなコノヤロウ!(あ、なんかルッチっぽかったな)
「今度は私と夕食を食べましょ」
「は、はい…!悦んで!」
あれ、字がおかしくなかったか。ま、いいよいいよ、気にしない気にしない。
「あなたには仕込みたいことが山ほどあるし、ね」
「?」
「そこまでだ」
………この低音ボイスは、
「あら、ルッチ。遅かったわね」
「俺の至宝を思いっきり蹴り上げられて暫く悶絶していた」
「とりあえず表現の仕方がなんかウザイ」
「エム戻るぞ」
来たら早々にあたしの襟首掴んで踵返し。
「なんで剃?!」
ここの廊下ってそんなに果てしないもんじゃないよね。
「(なぜこいつは六式を知っている…?)エム、ひとつ教えておいてやる」
「ふふ…まだまだ敵は多そうね」
姉さんの独り言も聞けないままあたしは相変わらず豹に振り回されっぱなし。いや、本当の意味で。
「降ろせバカヤロウ!姉さんとお食事があたしを待ってる!」
お姉サマとの有意義な時間を返せバカヤロウ!
「カリファは両刀だ」
「まじでか!」
笑う門には福来たれ!
エニエスロビーに味方はいない、のかな。
END
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