serial/cp9(op) | ナノ



1、ものっそい美人

「あら、ありがとう」

「いえいえ姉さんと呼ばせてもらいます」

2、奇抜ヘアスタイル

「褒められてるのか?」

「頭の中身も奇抜か」

3、変な口

「チャックだチャパー」

「(なんかうるさい)あとで縫っていい?」

4、変なメイク

「あぁ!変なぁ〜メイクじゃあ〜ね」

「長い」

「切腹!(鉄塊!)」

5、カンフー露出狂

「意味わかんねぇよ!」

「見たまんまだよ!殴るな!」

「なんか殴りやすいんだよお前身長的に」

「ナマズぅぅう!」

6、変な鼻

「変な変なと、おぬしはボキャブラリーが著しく欠如しとるようじゃな」

「うっさい変態」

「はて、ワシの聞き間違いかのぅ」

「ごめんなさい刀しまって!」

7、変なオッサン

「スパンダムだ、っつーか俺だけ特徴に欠けてねぇ?!」

「超変なオッサン」

「うっせぇよ俺ァここで一番偉いの!もっと気ぃ使え!」

「……」

「しかもリアクション無し?!」

「………」

「……どうも」



目が、あった。

目力…なんていうか強すぎ、視力いくつだ。いやあたしはそりゃこの人たちから見たらちっさいけどさ、確かにみなさん見下ろされてるわけだけどさ。この人だけは本当に見下ろしてる感でいっぱい。うん、この人だけ、なんか。


「突っ込んじゃいけない気がする」


一瞬の沈黙。


「ギャハハハ!賢明な判断だっ」

「…黙れ野良犬」

「いや、怖いもの知らずというか…おもしろいのうおぬし」


なんか爆笑が起こった。空気が笑わせてくれてよかった本当。なんか怖いもんこの人。あの変なオッサン…じゃなかった(こともないけど)、チョーカンさんが聞いてきた。


「…で、分かってると思うが」

「名前はエム。長っ鼻の変態さんに連れられてきました」

「エム」

「すいませんでした!」

「お前、どうやってここに来た」


ピンと空気が張りつめたのは……あのハトの人。


「なんやかんやで」

「ワシらはその、なんやかんやの内容が知りたいんじゃ」


ソファに座らされてもみなさん足を組んであたしを見据えたまま。どうしよ、殺気を感じないこともない。


「…漂流したんだと思う」

「あァ?このグランドラインのど真ん中をか?」


はいともいいえとも言えない、分からないんだもん。言えること、というか分かってることがとても少なすぎて。


「自分の名前と、帰る場所がなくなったこと」


それくらいしか分かんない。
帰る場所?と疑問をもつみなさんを他所に一人、一瞬眉をしかめて怪訝そうにあたしを一瞥してる人。


「どういう意味だ」

「なんでここに流れ着いたのかとか、どうして無事だったとかは分かんない、だけど」


自分の住んでいた島が、目の前で無くなってしまったということだけは覚えてる。ただ漠然と。島の名前も、人々も、家族とかそんなの全く分からないけど。


「こいつ、記憶が飛んじまったのか」

「や、しかし名前は覚えておうようじゃしの…」


今日はとってもわけの分かんないんデーだ。なんか漂流する場所もすんごい間違えてる気がするし、なんか胸が苦しい。どうしよう、なんかいたたまれない気分になってきた。なんか、泣きそうだ。


「…?」


視界が真っ暗。
真っ黒な胸板に頭押し付けられてすうっと水分が引いていく。


「泣きたかったんだろう」


小さな、だけどはっきりとしたさっきの殺気ムンムン超人視力なハトの人の声。





どうしようもなく溢れた





泣いて良いよと言われている気がした、気のせいだろうけど。



END



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