「なんだなんだー!どーしたんだお前らァー!」
「なんかありましたかアイスバーグさん?」
ぞろぞろと丸太を担ぎ上げながら残りの職長が顔を出した。
「………」
「…カリファ?」
「てっ…手配済みです!アイスバーグさん!」
「ンマー!さすがだな!」
カリファは冷や汗に青線を残したまま眼鏡をかけ直した。
そのとき、だ。
「ルッチさーんお電話がきてますー」
「『クククルッポー!すぐ行く!』」
「やっぱりお前変じゃねぇか…?」
軽くアイスバーグに頭を下げれば行ってこいの許可。
「ンマー、お前ら仕事にカタ付けたら俺の部屋に来いな」
受話器を外され俺を待った様子の電伝虫はずいぶんふてぶてしい顔でどかりと据えてあった。
「『…代わりましたッポー』」
『おぉールッチか!おもしれぇ声してんな!』
…あのバカ…一般回線で連絡なんか寄越しやがって…。
「………」
『おーいルッチぃ、聞いてんのか?』
「………はい」
『エムそっちに向かわせることにしたから、後は頼んだぞ!』
「何者じゃったかの?」
「『…バカだッポー…』」
「……大バカじゃな」
俺たち職長は一段落させられるとそのまま社長室へと通された。
「ンマー、見て分かると思うがコイツが新しく大工見習いとして入ることになったエムだ。このご時世女の船大工も悪くねぇと思ってな、採用した」
「エムです、よろしくお願いします」
「大工ん中じゃ唯一の女職人になる、世話ちゃんとみてやってくれ」
丁寧に頭を下げてニコッと笑った顔はやはりたとえようもなく可愛いものだ。エムがここに勤めること、もとい俺たちの任務に関わることを良しと思ったわけじゃないが。
「……それでアイスバーグさん、その…ハレンチ娘何番ドックのどこに就けるんですか?」
「ハレンチ娘ってなんだよ照れ屋」
「先輩を敬えぇ!」
「まぁまぁ抑えろパウリー…艤装・マストに欠員が出てたろ。そこに配属することにした」
頼むから嘘だと言ってくれ!
「てことで、パウリー先輩よろしく」
「ふざけんなァー!!」
「(まじアイスバーグの顔踏みてぇ)」
「(よりによってパウリーのとことはの…)」
「(また敵が増えたわ)」
エム、働きます!
(だあああ!社長が言うんだから仕方ねぇ、とりあえずもっと着込め!)(暑いですよ、蒸れちゃうし)(だあああから胸元パタパタすんじゃねぇぇえ!!)(照れ屋)(照れ屋でもねぇ!)
END
←|back|→