serial/学パロ(op) | ナノ



廊下ってどうして走るとパタパタという音がするのだろうと、実はほんの少しだけ疑問に思っていた。見るからにコンクリートで無機質な冷たい感じがするその床がミソなのか、その上を駆けるものがゴム製の靴底なのが理由なのか、どちらかは分からない。

こんな無意味というか生産性のないことを考えてしまうのも、何を隠そう(何も隠すものがない)授業中だから。


「エム」

「…?はい」

「あまり見られると照れる」

「先生を見ていたつもりはないです」


そのなりで頬赤らめるな、無愛想なくせにド変態ときたうちの数学教師め!







意見したら昼休みに呼び出しくらった。ふざけんな…!と言い放ちたい気持ちはたぎったが、そんなことを言える肝っ玉ではないので大人しく言うことを聞いている。廊下なう。


「あ…買いそびれちゃう」


ちょうど購買の前を通りかかった、ついでだ、職員室にはお昼ご飯を買ってから行こう。さっさと買ってしまわないと目ぼしいものはほとんど品切れになってしまう。もっと大きい購買になったら嬉しいなぁ。


「あら、エムちゃんがここでご飯買いに来るなんてめずらしい」

「こんにちは。やきそばパンと…たらこおにぎりと、お茶ください」

「はいはい、38万よ」

「高校生からぼったくらないでください…380円でいいですか?」

「ウフフ、冗談よ。エムちゃんにそんなことしないわ」


購買の姉さん(年齢不詳)シャッキーは、たまにとても高校生に売りつけるとは思えない金額を口にするが、とてもいい人。基本的にお弁当のあたしは本来あまり購買に縁はないのだが、きさくな性分のおかげでたまに購買のお世話になるあたしにも声をかけてくれる。


「これからルッチちゃんのところへ行くんでしょう?」

「…よくご存じで…」


情報通だもの、とにこやかに笑う。


「これ、ついでに届けておいてくれる?さっき渡すの忘れちゃったの」







「遅かったな」

「…どうも」


職員室に入るとすぐに目があったシャンクスに「エムじゃないか、今日は何日目だ?」とひどく心外な言葉を浴びせられげんなりしたが、その向こう側にはあのだんまり目で人を殺す自信過剰男もとい担任がこちらを睨み付けていたので背筋がぞっとした。(生死の危機的な意味で)


「何日目とはどういうことだ」

「深く聞かないでください…」

「…俺と昼飯を食おうというわけだな、準備のいいやつだ」


抱えていたパンの袋やらお茶やらを見て何を思ったのか、何やら嬉しそうにほくそ笑んだ。そんなつもりはない、本当にこの担任の頭は自分の都合のいいようにしか理解しようとしないらしい。


「だが、俺は昼飯は弁当の女派だ。今後は気をつけろ」


何を気をつけろというんだ。早く出ていきたい…あ。


「これ、先生にって」


さっきシャッキーに渡されたものを渡すと、5秒ほど怪訝そうな顔をした後、なぜだ、突然抱きしめられた。


「俺の籍に入れ」

「なんでそう…っ、なるんですか!!」

「気の利く女は好きだ」

「あんたの好みは聞いてない!」





オムライスと大量のケチャップ





もはや原型というか本体がすっかり見えなくなるほどに調味料をぶちまけられた可哀想な卵。(結局一緒に食べるハメになった)


「好きなんだ」

「…ケチャラー、ですか?」

「見た目が血のようだろう」

「…」



END

(廊下なうとか言わせたいだけ)(ウソップのケチャップ星!的なね)




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