お昼ごはんをおなかいっぱい食べてからすぐの授業は保育園でいうところのお昼寝の時間なんだ。たとえ誰のどんな授業だろうと。
「よしお前らいい度胸だ、答えられなかった奴から指していくからそのつもりでいろ」
あの数学教師の人差し指は本当に刺さるらしい。
「(ルフィが)」
「(ほっときなさい、あんなんで死にゃあしないわアイツは)」
「(そんなツレないナミさんも素敵だー!)」
「そこ、問5の解答を」
「ぎくっ」
めちゃくちゃだこの教室は!
「終・わ・っ・た…」
今日もあたしの平穏がやってくる放課後。
「ねえエム、駅前に新しくできたお店行かない?」
「ごめん、今日は」
せっかくのお誘いだし本当は行きたいんだけど、ナミごめんね。また今度ね。
「なんじゃ、エムがうちの教室に来るなんて珍しいのう」
「まあ…パウリー先輩います?」
ここは3年生の教室が並ぶ階。いつもはパウリーがぎゃーぎゃー騒ぐから(スカートが短いとかハレンチだとか言って)、あんまり来たくないんだけど、そうも言ってられない。借りたものは返さなくては。
「パウリーならもうここにはおらんぞ。もう部活じゃろう…ほれ、作業場に向かっておるな」
そう言ってカク先輩が指差す窓枠の向こうでは、これから着替えて作業を始めるのかパウリーがグランド脇を歩いていた。
うちの学校には工業科がある関係で、世間でも結構珍しいレーシングカーを作って実際にレースで走らせる目的の部活がある。
これから渡しに行っても行く頃にはもう作業始めてるだろうし、邪魔になりたくない。返すのはまた今度でいいか…。
「これかの?パウリーに返す予定だったものとは。わしが行ってこよう」
「そんな!先輩をパシリにするわけには」
「何、誰もタダでとは言っておらん」
ごちそうさんとだけ言うと、カク先輩は窓枠から颯爽と飛び降りていった。
特別だなんて思わない方がいい
「…おねがいします…」
「(カクお前上でエムに何しやがった!!!)」
「(なんじゃ見てたのか)」
なんかキスの感覚鈍ってきた…。
END
(実際パウリーは何部がいいのか)(文化部とか意外?といいと思っている)
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