long(op) | ナノ



「珍しいな」

「…何が?」


部屋に戻れば訓練でかいた汗すら流させてもくれず更にかかされた汗に、あたしは気だるさを全身で感じていた。
万年お盛りな豹野郎は、まぁなんと優雅なもんか。


「疲れているなら寝てろ。突然任務がきたらどうする」

「長官に愚痴る」

「俺に鳴かされて足腰立たねぇとでもか」


…本当誰かこいつ殺してくれないかな。
そういう本人に与えられたこの気だるさだっていうのにと思えば、自然とため息が漏れた。行為が終わった後のベットといってもあたしと彼に漂う名残なんてない。ただ頭の下に与えられた腕と、逞しい胸板に力無さげに寄りかかるだけ。

ふと彼の背に触れた指先が熱い。


「…傷でもうずいてるの」


意識的に彼の肌に触れればじんわりとした熱が伝わる。


「バカバカしい、今更」


あたしを抱き締めた強い腕。ここに入った頃は背丈以外は大して変わらない身体付きだったのに。いつのまにか、あたしよりもずっと大きく強くなっていって、あたしにない傷跡までその身体に焼き付けて。


「ルッチが抱き締めるなんて珍しい」

「ふん」


ルッチの背に腕を回すたびに、あたしは彼の正義に触れる。



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