「カクたちには忙しないわね、最近やっと帰ってきたのに長期任務の立て続けで。船大工なんて下準備のいる役職なんて長官が連絡していたとは考えづらいし」
「手配済みです、アイスバ…!」
メガネを掛け直しキラリと反射したレンズ越しのカリファは、瞬間しまったという顔をして赤くなった。
「カ…カリファ?」
「な、なんでもないわっ!別に今度の任務の役に入ってクセがついてなんかいないわよ…!」
「そ、そう…」
天然なところは、見過ごしても大丈夫かな…。
「おいエム、俺だ」
「開いてるよ、どうぞ」
今度はジャブラ。
「それじゃあ、私はこれで」
そのまま部屋を出たカリファに変わって、ジャブラはソファに酒瓶を持って座った。
「ワインならあるけど」
「ンぁ?あぁ、構うな平気だ」
やっぱり自分にはこういう酒が合うんだと言って笑った。
「んまァ余裕をみた予定だなこりゃ。2年もかからねぇな」
「上手くいけばね。作戦さえ漏れなければ滞りないと思う」
「ぎゃははは、フクロウは来ねぇよ、安心しろ」
こっちもこっちで、カリファたちほどではないものの潜入任務。事前に計画を立てて念には念を入れるのが、プロのお仕事ってもの。
「じゃあな、出発は一週間後だとよ」
「了解」
ジャブラが部屋を出ていくのを見送り、パタンという音とともにドアを閉めた。
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