「大好きルッチ!」
「わかったわかった、クルッポー」
嘘、偽り、そう、全てが虚偽。
「ハレンチエム!こんなとこでいちゃついてんじゃねェーッ!」
振り上げたパウリーの手を、カクがなだめるように止める。
「いい加減よさんかパウリー、嫉妬は醜いものじゃ」
「ふざけんな!誰が妬くかこんなハレンチ娘!!」
今日もまた休憩は飽きもせず同じ時間が過ぎていく。これも全て謀だというのだから笑えたものではない。
「ポッポー、パウリーの目の毒だ。離れろエム」
「いーや。ハレンチなのはパウリーの方だもん」
そう言って絡められた腕が愉しそうに踊って音を立てて頬に触れた。
「赤ちゃんの名前は何がいいー?」
「ッッッ〜…ハ、ハレンチ過ぎだーッ!!!」
厄介なことをしてくれるのぅ、なんてやれやれとした顔で引きづられた奴がいなくなって。俺はその手を引いて作業場の裏壁に押さえ付ける。
「あれ、どうしたの」
端からみれば恐ろしい構図でも、彼女は愉しそうに笑っていた。
「…めんどくせェ…」
「ふふ…大胆だね、職長さん」
憎まれ口を紡ぐそれさえ塞いで時折漏れる熱い吐息に背筋が震える。俺の角張った指は、エムの肌は触れる度に柔らかく弾かれる。
「…どこまで本気だ」
「どこまでも、何も…、…全て?」
消え入りそうな声で笑った。
ライトゥルーライ嘘と真実のボーダーライン、その壁を君はどこに立てるの?
「いつか別れる時がくるなら」
あなたの命を与えられたいなんて。
「…バカヤロウ」
これは期限付きの恋愛ごっこ。
END
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