「降格かしら」
「ただの異動だ。バカヤロウ」
「異動なんて、…バカみたい」
なんで殺してくれないの、なんて呟きながら通達を見て、エムは苦笑した。
「あたしには、ここは任せられないって事でしょう」
「…お前に人殺しは向かないだけだ」
哀しそうに、でもそんな自分を蔑むように彼女は笑った。その腕いっぱいでしがみついてくるエムからは、ふわりとした香りが鼻孔をくすぐる。
ハラリと落ちた、9以外の数字の紙。
「長官に見直しを求めるか」
「…ううん。大丈夫」
一撫でしてやれば、その綺麗な顔が俺を見上げる。
「ルッチ達の足手まといになるよりずっと良い」
元々大した変化を持たない表情は、いつものように美しく冷めていて、任務に徹してきたエムはいつしか何かを奪われてきたのは明白。
「ねぇ、ルッチ」
その鋭く冴えるその眼が、またたとえようもなく綺麗に俺だけを映して。
エターナルラバーたとえばこれは永遠の別れだとして
「一方的で構わないから」
貴方があたしを愛してなかった今までだってこれからだってあたしは貴方を愛し続けるから。
「いつかどこかで出会った時は」
初めましての他人で構わないから。
END
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