…これは犯罪か?
「ねぇ、パウリー朝」
「ぐー」
「ねぇってば、朝だよ?遅刻するよ?」
「がー」
「…アイスバーグさんがルッチさんに夜這いされたって」
「んだとぉお?!」
今朝の目覚めも最悪だった。
「おはよう」
「…おぉ」
あの忌むべきガチムチタンクトップ野郎が、いたいけなアイスバーグさんを寝ている間に縛り上げ泣きそうな顔に迫っていくしたり顔が俺の目覚める直前の夢見になったのは、すべてこいつのせいだ。あったかい朝食とコーヒーなんて淹れやがって、このやり場のない感情はぶつけどころを失った結果、冷水でがしがし顔を洗う他なかった。
「今日からテストだから、帰り早いの」
「…そうか」
「夕飯何がいい?」
そういう主は、トーストをくわえて新聞を流し読む俺の向かいで洗い物をしている。俺が言っちゃあなんだが、エムはなかなか良くできた女だ。まあ、鋭利な冗談というか、やや毒舌気味というか、年の割に合わないスッパリしている性格は可愛げがあったりなかったりだがよく気の回る、…少女だ。
「エム、お前、たまには家帰れよ」
「なんで?」
「なんでってそりゃお前…って、ばか!ここで靴下をはくな!」
「は?」
「脚上げんな!スカートがめくれるだろうがこのハレンチ!」
「……昨日もシたじゃん」
「だあああぁあ!!そういう問題じゃねぇ…っつか!女がシたとか言ってんじゃねぇよ!」
「…」
パウリーんちそこそこ広いけどワンルームじゃん、と突っぱねる言葉もないようなことを言いやがるが、そういう問題じゃねェんだよこのハレンチが。第一な、シたとかな、その…
「お前……中学生だろうが」
「そうだよ、ジューゴ」
「…っどアホ!」
「ほら、早く支度して。また遅れてカクくんたちにバカにされるよ」
俺の手綱は、なんといたいけな少女に握られたものか「あ、カクくんおはよう」
「おー、エムは今朝も早いんじゃなぁ。昨日は激しくやっとったようじゃが」
「でもパウリーが明日テストだろうから早く寝ろって」
「…明日テストと知っていてやったのか。おぬし、鬼畜じゃな」
「てめぇら朝っぱらからなんつー話してんだ!!」
END
パウリーの同僚のカクくん(お隣さん)。
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