short(op) | ナノ


※前サイトの加筆修正作品なので総集しました。


1


司法の島、エニエスロビー。

沈む事のない太陽は今日も眩しいほどにこの島を照らす。窓から差し込むその光に廊下は突き当たりまで見渡せるほどに明るい。


「入るぞ」


カチャリとドアノブは軽く俺を通した。扉の向こうに踏み入ればそこは整えられた部屋の中。


「エム」


それは俺がこの世で唯一適わない女の名前。


「…疲れてる」

「知った事じゃないな」


だるそうに肩を落としているのは既に黒くなった血を全身に浴びた女。


「帰ってきたばっかりなんだけど」

「それがどうかしたか」


腰に片腕を回し不機嫌そうに歪む表情に噛みつくように口付ける。頬、耳、首、胸へと移せば溶けるように赤は口の中に広がる。


「…汚、い…」

「構わん」


シャツのボタンを一つずつ外しながらベットに倒せばエムのそれと目が合う。そのまるで余裕そうな表情に、誘われて。





その余裕を歪めたい衝動





差し込む光も君の追憶の人も布一枚で隠して彼女の白い肢体には、俺だけが触れればいい。



END