拍手log

今日は朝の冷え込みがひどかった。
悴んでしまった手を擦り合わせながら教室に到着する。
手袋をしてきたはずなのになぜこんなに私の指は固いのだ。
せっかく買ってきたホットのペットボトルを開けることもできないポンコツな手を睨みつけてみるけれど、そのキャップが緩むことはない。

冷めないうちに飲みたいのに…。
この冷えた手がペットボトルもどんどん冷やしてしまうように思えて気持ちばかり焦る。
自席で必死にキャップを捻っていると、不意に机に影が落ちてきて暗くなった。
あれ、と思う頃には私の手にあったペットボトルはするりと持ち上げられていて、大きな手がキャップを捻ると一瞬にしてほわりと温かな香りが漂う。

机に戻されたペットボトルをじいっと見つめていると、また大きな手が目の前に降りてくる。
手のひらにはオレンジ色のキャップが乗せられていたので、それを冷えた指先でそっと摘むと、触れた手は皮膚が固くて、そしてとても温かかった。

「指、つめてー」

ふっと笑った気配と小さな声が耳から脳に届いたときには、もうその手の持ち主…岩泉くんは一番前の席に大きなエナメルバッグを乗せていた。


あったか〜い、選ぶんじゃなかったかな。
もう全身ぽかぽかだ。
しかし液体が舌に触れる頃には少し温くなっていて、今の私にはちょうどいいかもしれないな、と言い聞かせることにした。

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210818

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