はじめてのプリクラ(幸える編)

今日からテスト前ということで部活もない。
久しぶりに早めに家に帰って大人しく勉強
でもしようか、
そう思った矢先に聞きなれた元気のいい声。
「幸村君!」
そう言って俺の前に鞄を持って現れた
俺の彼女、えるさん。
彼女は学年性別を超えて好かれているので
俺たちは何にも邪魔されることなく過ごせている。
「どうしたのえるさん、何かあった?」
「プリクラとりにいこーよ!」
「…テスト前だよ?」
「おいら達なら大丈夫だって」
「…随分と余裕だね」
髪の毛の毛先を指に絡めながら
「なるようになるしプリクラ撮ったことないじゃん?」
「まあなんだかんだ言ってえるさんできるもんね」
「そ、おいらやればできるの、」
「…いいよ、行こうか。」
「お、やった!んじゃいくよー!」
俺が鞄を掴むと同時にえるさんが俺の腕をつかむ
ついていくのに問題はないスピードだけど
力、意外と強いんだねえるさん、痛い。

  *

ゲームセンターへ到着し一通りぐるりと回ってから
目的であるプリクラのコーナーへ。
手をつないでいる状態であたりをきょろきょろと
見渡してどれにしようかななんて呟く彼女は
どれだけ濁した言い方をしようとしても可愛いと
しか言いようがない。それほどに可愛い。
…あれ、俺ってこんなキャラだっけ
「ねーこれでもいい?この会社のならおいら全部とれるし。」
何を取るのかはわからなかったが俺は何もわからないし
撮れるならいいかなと思って頷く
「うん、いいよ。」
そういえば彼女はまた笑って中に人がいないかの
確認をしてから俺の手を引いて中へ入る。
人生初のプリクラの機械の中。意外と狭いな…
女の子たちやカップルはこんな狭いところであんなに
笑って撮ってるんだなあ、と思っていたらえるさんが
下から俺を覗き込んでいた
「幸村君200円―」
「あ、ご、ごめんごめん、」
苦笑をし財布からお金を出して機会の中へ。
すると何か音がしてアナウンスのような何かが
流れる。
どうしていいかわからないから俺はえるさんに
全て任せることにした。
するとえるさんは俺の手を握って
「幸村君カメラ見て笑ってね!」
カメラを見てそれにピースを向け
笑ってみる3.2.1とカウントダウンの
後にカシャリと音がしてフラッシュがたかれた。
まぶしい。
「笑顔ぎこちなさすぎ」
と笑う君の見る画面の中には満面の笑顔のえるさんと
ぎこちなく笑う俺
こんなにひどいのか、とちょっとショックを受けて
やや下を向いて自分の頬を両手でむにむにと触る
するとまたフラッシュがたかれた。
「えっ?」
先程の画面をみれば俺は真顔で自分の頬を触っていて
えるさんは楽しそうに笑って俺を見てた
次々に撮られ 残るはあと一枚。
恋人らしくとってみたい そういう願望はあるが
はじめての彼女に初めてのプリクラ。
一緒に撮るだけでも緊張しているというのに。
3 カウントダウンが始まる
2 ゆっくりと彼女の肩へ腕を伸ばす
1 
機械がそう告げた時俺はえるさんの肩を抱き寄せて
満面の笑みをカメラへと見せた。
フラッシュが俺たちを包んで画面へと
俺たちを映し出す。
そこには少し顔を赤くして笑う俺と
驚いたような表情に顔を赤くさせているえるさんがいた。

  *

落書きはえるさんに任せ外で待つ。
落書きを終えたのかえるさんが出てきて
俺の隣にちょこんと立ちそっと俺の手を
取り握った。微笑みながら。
嬉しくて可愛くて愛おしくて。
握り返したら「痛いよ」なんていって
笑っていた。
「プリクラって緊張するね」
「そう?おいら慣れた!」
「好きな子とあれだけ密着するのに?」
「それは。まあ…、あでてきたよ」
二等分されてでてきたシールの真ん中には
最後の一枚が。
だけどその一枚はえるさんのらくがきによって
あの表情が隠されていた。

だけど俺はちゃんと見たんだよ?
顔を赤くしてちょっとだけ笑ったえるさんの表情

笑っている笑顔だって勿論素敵だけど
照れたり驚いたり怒ったり。
そういう表情もこれから先も
ずっと見ていけたらいいな、と
素直にそう思って俺はえるさんと
お付き合いさせてもらってます。



  -fin-

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